目つきが悪すぎる「ゆるキャラ」誕生秘話、りそな社内の評価は真っ二つ東 和浩・りそなホールディングス社長 Photo by Takahisa Suzuki

 ゆるキャラの人気投票大会である「ゆるキャラグランプリ」。その大会で、「ゆるさ」とは対極にある銀行業界から参戦したキャラクターが、栄えある賞を受賞した。

 それは、りそなグループのキャラクター「りそにゃ」だ。2017年11月、企業・その他部門で優勝を果たしたのだ。

 15年から3年連続で出場してきたりそにゃは、三度目の正直で優勝を射止めた。持ち株会社のりそなホールディングス(HD)とその子会社のりそな銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行などが一丸となってグループが結束。個人顧客や取引先企業を巻き込んでの必死の“選挙活動”が実を結んだ。

 このように、今でこそ名実共にりそなの象徴となったりそにゃだが、実はここに至るまでには紆余曲折があった。「たかがゆるキャラ」とばかにするなかれ。りそにゃは、首脳陣が難しい顔をして議論する経営会議に諮られ、グループを真っ二つにする大論争の末に誕生した、ゆるくない経歴を持つキャラクターなのだ。

目つきが悪いと言わないで
銀行を見つめるクールな視線

 事の発端は、りそなHDの社長である東和浩の問題意識だった。

 13年初め、東は「社内外に対する新たなコミュニケーション戦略」という“宿題”を社内に出した。背景には、かつて経営危機に陥り、ピーク時の03年には3兆円超もの注入を受けた、公的資金の完済が見えてきたことがあった。