気になる2つの話題
ダボス会議と2中全会

習近平政権の「到達点」をダボス会議と憲法改正から分析してみたPhoto:新華社/AFLO

 今回はまず、日頃は書かない執筆の“舞台裏”を読者の皆様とシェアしてみたい。なぜ今回に限ってシェアするのかという理由に部分に関してはあえて私からは触れない。読者の皆様一人ひとりにご判断・ご批評いただければ幸いである。

 私が本稿執筆に向けての準備を進めていた1月24~27日、テーマになる候補は頭の中に2つあった。1つは世界経済フォーラム(ダボス会議、1月23~26日)。もう1つは中国共産党の第19期中央委員会第2回全体会議(2中全会、1月18~19日)。

 前者では習近平総書記のマクロ経済ブレーンとされ、昨年10月に開かれた第19回党大会で政治局委員(トップ25)に昇格した劉鶴・中央財経弁公室主任が中国共産党・政府を代表して会議に出席し、基調講演を行った。昨年度の経済成長率が6.9%増と目標の「6.5%前後」を上回り、“概ね好調”との呼び声も高い中国経済のキーマンが何を語るかが注目された。

 後者では憲法改正が議論された。改革開放開始初期における1982年に公布されて以来、1988年、1993年、1999年、2004年と計4回改正されてきた。今回の憲法改正は、就任以来ある種の紆余曲折を経ながらも、着実に強固になってきた習近平の権力基盤をめぐる動向と密接に関わっている。

 前者は中国が国際社会でどのような地位や役割を求めるのかを判断する上で貴重なケーススタディーになる。後者は習近平率いる中国共産党の権力基盤をめぐる動向をモニタリングする上では外せない。

 どちらも捨てがたく、最後の最後まで悩んだ。しかしながら、中国世論でダボス会議がどのように報道され、中国の存在感や影響力がどのように議論されているのかを眺めているうちに、頭のなかでモヤモヤしていた複数のピースが融合していき、書き方が決まった。