今どきのチリワインの面白さ、素晴らしさについて、「オーガニック」「クールクライメイト」「セパージュ」「ツーリズム」という4つのキーワードをもとにその発見をレポートしていく。第2回目は「クールクライメイト」。ワインを通じて、そのワインを生む、チリという国の文化や風土、そして人々の情熱と笑顔、その物語を楽しんでいただきたい。

>Vol.1 オーガニック

クールクライメイト
Keyword of Chilean wine 2 cool climate

日本の太平洋岸では考えられないほど、確かに海からの風は冷たい。だが、厳しいというよりも優しい。はるか向こうは日本。欧米中心の世界地図だと端と端だが隣国なのだ

優しく心温かいエレガンスを生む風と海の素晴らしき贈り物

 クールクライメイトは、ワインのプロやワイン好きの間でここのところ注目されているワード。ごくごく簡単に言えば「冷涼な地域で生みだされるワイン」のことで、もう一歩進めて言えば「そのワインは冷涼な地域で生みだされるから、より濃厚でエレガントになる」という喜ばしいスタイルのこと。

 太陽が燦燦と輝く熱い土地は、その分、ブドウの生育も早く収穫時期は早くなる。明るく楽しいワインではあるが、集中力であるとか凝縮感、酸などは足りなくなるともいえる。逆に冷涼地域は十分なエネルギーを蓄積するために収穫時期は遅くなるが、その分、大地からの力を溜め込み、美しい力強さと豊かな酸を宿すワインとなる可能性を持つ。

 となれば疑問なのがチリは冷涼なのか?ということ。日本人が描くチリのイメージからすれば当然の疑問かもしれない。確かに夏場のチリには容赦なく太陽が降り注ぐ。北部(南半球なので当然北へ行けば熱くなる)は乾燥した砂漠地帯で、ワイン産地である中央部も30度を超え、年間の降水量も200〜300ミリ程度。

冷涼さに加えて丘の高低、斜面の角度など細かいブロック分けで収穫タイミングを変える。機械が入れない角度のブロックも多い(『ルイス・フィリペ・エドワーズ』にて)

 日本では場所によっては1日でも降ってしまう量と考えれば、明るく楽しいジューシーなワインの産地と思う。実際、日本でよく見る格安なチリワインはおおむねそのようなテイストを感じる。