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吉田恒のデータが語る為替の法則

過去最大に近い売られ過ぎ!
ユーロ/円への為替介入はあるのか?

吉田 恒
【第183回】 2012年1月23日
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ユーロ圏諸国の国債格下げ後のユーロ高、その理由は?

 ユーロ安は欧州の国債格下げ後もすぐに行き詰まり、格下げ前よりむしろユーロ高へ戻ってきたわけですが、それはなぜだったのか?

 まず、考えられるのは、金融緩和などユーロ売りの環境にあるとはいっても、それにしてもユーロはさすがに極端な「売られ過ぎ」だったのではないかということです。

 「資料1」は、投機筋のユーロのポジションです。

資料1

 

 ユーロは「売られ過ぎ」といったことを、このコーナーで私もかなり前から言ってきたような気がしますが、この資料のように、最近にかけてついにユーロ売り越しは15万枚程度といった空前の規模に拡大していたのです。

最近のユーロ売りは2007年の円売りの状態に近い!

 人間の感覚として、「売られ過ぎ」と言われながらも、いつまでもユーロ売りが止まらないと次第に鈍感になり、感覚が麻痺してくるかもしれません。しかし、無限ということはなく、いつかは終わりが来るわけです。

 ユーロと円で違う点はあるでしょうが、かつて円売りが終わらないような錯覚も出てきた中で、結果的には「バブル」の状態になり、ついには二度と再び到達することがないかもしれないピークに達したのは、2007年6月。そのときの投機筋の円売り越しは18万枚でした(「資料2」参照)。

資料2

 

 最近のユーロ売りがそれに近づいていたということは、ちょっと気になるところです。

ユーロ売りが「バブル」につながる可能性は?

 金融を緩和し、そして、債務危機の中で財政政策も引き締めざるを得ない欧州では、経済政策の組み合わせ、つまりポリシーミックスの上では教科書的に通貨安、つまりユーロ安に誘導するのは当然の結果です。

 にもかかわらず、そんなユーロの対米ドルでの適正価格、購買力平価は1.2ドル程度ですから、最近のユーロ/米ドルはまだまだ適正価格より「割高」と考えられるわけです。

 ユーロ安政策をとり、なおかつ、まだユーロが「割高」なら、ユーロの下落は当然過ぎる結果といえるでしょう。

 ただ、気をつけなければならないのは、そんなふうに誰が考えてもケチのつけようのない局面でこそ、むしろ「バブル」が起こるものだということです。

 売り買いが賛否両論の中では、「バブル」は起こりません。100人中100人すべてが売りとなれば、それはバブルへの懸念が出てきます。

 最近のユーロ売りがそこまでのものかはともかく、ちょっと気になる点ではあったでしょう。

欧州格下げは事前予想ほど悪い内容ではなかった

 もう1つ、純粋に今回の欧州格下げは、事前に予想されたより悪い内容ではなかったということもあると思います。

 それを「資料3」として、簡単にまとめてみました。

資料3

 

 まず、事前には、ユーロ圏の加盟国すべてが格下げの対象とされていたのですが、結果的にはドイツなどの格下げは行われませんでした。

 そして、最大の焦点となっていたフランス国債の…

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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