ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
Close Up

格下げとギリシャ支援頓挫で
欧州が直面する「3月危機」

週刊ダイヤモンド編集部
2012年1月23日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

欧州時間の1月13日、米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)が、最上級のトリプルAの格付けを持つフランスなど欧州9ヵ国の一斉格下げを発表した。欧州債務危機に対するユーロ圏の取り組みが不十分、との理由からだ。そこに追い打ちをかけるように深刻な事態が持ち上がっている。ギリシャ危機の再燃だ。

 債券市場の反応は拍子抜けするほど冷静だった。

 欧州9ヵ国の一斉格下げで、波乱が予想されていた週明けの市場だったが、ふたを開けてみれば、今回2段階格下げされたスペイン国債、最上級のトリプルAからダブルA(+)に格下げされたEFSF(欧州金融安定化基金)債共に需要は堅調で、目標どおりに資金を調達した。

 12月時点でS&Pはユーロ圏15ヵ国の格付け見直しを表明しており、「マーケットは格下げを織り込みずみ」(中空麻奈・BNPパリバ証券クレジット調査部長)という見方どおりの展開となった。

 今回の格下げで最も懸念されていたのは、ユーロ圏の財政危機国支援のために設立されたEFSFの融資能力が低下することだった。EFSFは、トリプルA格を持つドイツ、フランス、オーストリア、オランダ、フィンランド、ルクセンブルクの6ヵ国の政府保証に裏打ちされている。今回、フランスとオーストリアが格下げされたことで、4400億ユーロあった融資能力は両国の政府保証分減少し、2700億ユーロまで低下した。

 ただし、これはあくまでEFSF債をトリプルAの格付けをつけて発行する場合であり、ダブルA(+)で発行するのであれば、融資能力は4400億ユーロのまま変わらない。先述したように格下げ後の資金調達は順調にこなしており、融資能力の低下という最悪の事態は回避された。

 格下げの当座の影響は限定的だが、長期的にはボディブローのように効いてくる。「ユーロ圏に積極的に投資する理由がなくなる。慎重にならざるをえない」(櫻井祐記・富国生命投資顧問社長)。

 事実、投資マネーは日本国債や米国債に向かっており、長期的に見れば資金調達コストの上昇は避けられないだろう。

ギリシャ危機が再燃し、ユーロは窮地に追い込まれている。ギリシャのパパデモス首相に残された時間は少ない
REUTERS/Sebastien Pirlet
/REUTERS/Ognen Teofilovski

債務整理のカギ握る
ECBの交渉参加

 ギリシャ政府と民間債権者の債務減免交渉が中断──。

 格下げが発表された13日、もう一つの衝撃的なニュースが欧州を震撼させた。民間債務の減免によるギリシャの債務整理は、同国への金融支援の前提となっている。もしも交渉が決裂するようなことがあればギリシャはデフォルト(債務不履行)に陥る。そうなれば、財政不安を抱えるイタリアやスペインの国債も急落し、欧州はもちろん、世界に危機が波及する。

1
nextpage

今週の週刊ダイヤモンド

2017年3月4日号 定価710円(税込)

特集 文系こそ学べ 勝つための絶対スキル データ分析

統計分析 Excel入門 データに強くなる

【特集2】
コーヒービジネス大活況
サードウェーブの次に来る波

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


Close Up

激動する世界経済の流れに、日本も無縁ではいられない。政治・経済、企業・産業、社会の注目テーマをクローズアップし、独自の視点、切り口で「詳説」する。

「Close Up」

⇒バックナンバー一覧