欧米中心の地図だと両端に分かれる日本とチリだが、日本の地図を見れば、日本とチリは太平洋を挟んで「隣国」。実は歴史的にも産業的にも、また同じ地震国としてのつながりも強い。近くて遠くて、遠くて近い国。生まれるワインを楽しむ幸せ、その場所を訪れて知る幸せと。

一番遠くて、でも隣国
ぶどうにも私たちにもフレンドリーな場所

地理的背景

 西に太平洋、東は高峰が連なるアンデス山脈。南北は4329㎞、対して東西は平均175㎞と、海岸線に沿ってとても細長い国。

 北部は砂漠地帯で南部は極寒地域ということで、ワインの産地は首都サンチアゴを中心とした中央部。

 日照時間が多く、特に収穫時期に雨がほとんど降らないという格好の気象条件。これに加えて、湾岸部では朝晩の冷え込み、日中の寒暖差も後押しをする。四季も感じられ、冬はスキーも楽しめ、春の訪れとともに花々も咲き誇る。

 中央部のワイン産地を大きく分けると、北のコキンボ地方、中央のアコンカグア地方とセントラル・ヴァレー地方、南のサウス・ヴァレー地方となる。

 以前は、東西を輪切りにするよう形でエリア分けがされていたが、その中でもアンデス山脈に近い場所から、冷涼な沿岸部まで幅広い環境が混在し、より狭い範囲の渓谷単位でも個性が変わり、栽培されるブドウ品種もそれぞれ特徴があるため、ワイン生産の最北端であるエルキ・ヴァレー、リマリ・ヴァレーから最南端のマジェコ・ヴァレーまで細分化されている。

 さらに現在では東西に分けていくという考え方も。この考え方で大きく分けると、東からアンデス山麓の「アルトアンデス」、中央の平坦地帯「セントラル・ヴァレー」、海岸山脈の東側「インテリオール」、沿岸地帯「コースタル」と4つの地域となる。

 地理的なメリットとしては、北の砂漠、南の氷、西の太平洋、東のアンデスと隔絶された環境、またおおむね乾燥している気象状況と、徹底した植物の検疫が功を奏し、ブドウ栽培の大敵であるフィロキセラ、ベト病が存在しない。そのためオーガニック栽培に適した土地でもあることから近年、オーガニック、ビオディナミに舵を切る生産者も増えている。