記憶力日本一、世界記憶力グランドマスターでもある著者は、超人的な「記憶力」と「集中力」を持ち合わせています。どちらも脳に依存している能力だからこそ、鍛える方法は共通しており、誰でもできる方法があるのです!
本連載では、脳の仕組みを活用した世界水準の集中力を磨く技術が網羅されている新刊『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる超集中術』から集中術のエッセンスを紹介していきます。

記憶力を鍛える3つのステップ

 いろんな分野で活躍している人の中には、もともと集中力が高かったために成功した人もいるでしょう。しかし、その分野での技術や技能を伸ばしていくにつれて集中力も高まったという人も存在します。

 私自身がそうです。どちらかというと、集中力はあまりないほうでした。記憶競技に出合ってトレーニングにより能力を高めていった結果、現在では自分の集中力にかなり自信を持つまでになりました。

 特に良かったのは、記憶力も集中力もどちらも脳に依存している能力だったということです。

 脳を調べていくうちにわかったのですが、記憶力も集中力も鍛えるための脳の使い方は似たところが多いのです。それにより、とても効率的に集中力が鍛えられたのです。

 現在の科学では、脳は高い柔軟性を持った器官であることがわかっています。柔軟性とは必要に応じていつからでも変化することができる性質を表しています。

 ですから、必ず記憶力は伸ばすことができるというマインドを持つことが非常に重要です。

 記憶力を鍛えるステップは、3段階あります。

1.運動する

 始めは「運動」です。

 脳を健康に保つには運動が不可欠です。

 運動といっても激しいものである必要はなく、ウォーキングぐらいの運動で充分です。適度な運動が認知能力に必要な脳の神経細胞を増やしてくれるのです。

 日々の運動により、まずは記憶力のもとになる脳の基本性能をアップさせます。

2.楽しむ

 次に、「楽しいことを増やす」です。

 記憶力アップのためには非常に重要な要素なのです。

 脳の中で記憶の司令塔と呼ばれているのが、「海馬」と呼ばれる部分です。この場所が活性化すると記憶力はアップします。このすぐそばには「扁桃体」と呼ばれる部位があり、これは喜怒哀楽に反応する場所です。

 感情が結びついた情報は記憶に残りやすいという性質があります。だから「思い出」は長く残るのですが、覚えるときにこの扁桃体がよく反応すればするほど、隣の海馬が刺激され記憶力がアップするという仕組みがあるのです。

 そのために日頃から、友だちとの会話を楽しんだり、趣味に没頭したり、旅行に出かけたり、読書や映画を観て感動したりと感受性を豊かにする生活をすることが、扁桃体の反応を高めることにつながり、海馬を通して記憶力をアップさせるのです。

3.映像で覚える

 最後は、「映像で覚えるトレーニング」です。

 記憶力を構成する力として、「覚える力」と「思い出す力」の2つが存在しています。覚えていても思い出せなければ記憶力があるとは言えません。

「映像で覚えるトレーニング」をすると、この思い出す力が鍛えられるのです。

 方法は簡単です。しなければならないことを頭の中でイメージして記憶し、実行するのです。

 たとえば、牛乳がきれてしまったので仕事からの帰りに買おうとしたとします。そのときに頭の中にお店で牛乳を買っている姿をイメージして焼き付けるのです。

 銀行でお金をおろさなければならないときなども銀行のATMの前でお金をおろしている姿をイメージします。それ以外にも仕事のToDoなどもスケジュール表に加えてイメージするようにしてみてください。そして、実際にそれらを実行することにより、思い出す力が強化されていきます。

 イメージするときのポイントは、必ずその映像の中に自分を登場させることです。

 今回紹介した方法を続けて記憶力を鍛えていくと、それに伴って集中力も必ずアップしていきます。