“考え方のクセ”がわかれば、
生活者へのよりよい「伝え方」が見えてくる


 例えば、iPhoneはなぜ売れているのか。

 それを考える際に、一般的にはiPhoneという商品自体に着目して検討を始めるケースが多い。調査は、対象となる人を「すでにiPhoneを購入している人」「iPhone以外のスマホを使用している人」「スマホを使っていないが、今後買い替えようとしている人」などのグループに分けてリサーチをかける。つまり、商品の購買をあくまで“モノ起点”で考えるのだ。
 
 ところが、同じ行動を“ひと起点”で見て行くと、様相はかなり異なってくる。

 実際にひと研究所が行った生活者インタビューでは、iPhoneを買った理由として
「かっこいいから買った、スタイリッシュだから」
「いち早く購入し、周囲にも強くすすめた」
「周囲が持ち始めたから、家族に勧められたから」
「キャッシュバックを期待して」
などの回答があった。

 同じiPhoneを購入してはいるが、それを選んだ理由は一つでなく、むしろかなり異なっているのである。
 
「このことから私たちは、生活者には一人ひとりに“考え方のクセ”があり、それに基づいて行動しているのではないか、というシンプルな仮説を立てました。そして、生活者はカテゴリーを問わず、モノや情報に向き合う姿勢は常に変わらない、という仮説です。

 そして“考え方のクセ”が分かれば、生活者へのよりよいメッセージの“届け方”“伝え方”がおのずと見えて来るのではないかと考えたのです」
 
 と、亀田所長は振り返る。

 そのため「ひと研究所」では「ACR/ex」の膨大な生活者データを活用し、生活者がどのように情報に関与し、購買行動などに至る選択基準を持っているかを、「考え方のクセ」として6パターンに分類した。それが下図である。