どうすれば外国語を10年、20年と記憶に残すことができるのか?あの中野信子氏が絶賛した話題の新刊『脳が認める外国語勉強法』には、ヒトの記憶の特性を最大限活用し、一度覚えたら単語も文法も忘れなくなる方法を紹介している。特別に一部を無料で公開する。

どの言語の文法にも共通の機能がある

 文法書を開くと、数百ページにわたってさまざまな種類の文法が載っている。文法に無限の可能性があることを思うと、ページに限りがあるのはおかしな話だが、数百ページはやはり長い。文法にはそれだけたくさんの役割がある。誰が何をするのか、いつそれをするのか、どうやってするのかといったことはもちろん、頭をよぎって口をついて出た正気の沙汰とは思えないことでも、文法には伝える役目がある。

 結局、頭のなかのアイデアとアイデアを結び付け、他人の頭に届けられるのは、文法があるからできることなのだ。文法を説明しきるなど絶対に不可能なはずだと誰もが口を揃えるが、現実には、定期的に文法書が刊行され、多くの著者が不可能なはずのことを成し遂げている。

 文法の複雑さには驚かされるが、本当に驚愕するのは、それが単純なように思えてしまうところだ。文法は、次の3つの機能を果たすことで、無限の可能性を生む(1)単語を足す機能(You like it→Do you like it?)、(2)単語の形を変える機能(eat→ate)、(3)単語の順序を変える機能(This is nice→Is this nice?)だ。英語の例を挙げたが、これは英語に限った話ではなく、どの言語の文法も、この3つの機能によって単語がストーリーになる

 「誰が何をするか」を伝えたいとき、文法がどう機能するかを見てみよう。英語は語順で伝える。たとえば、「Dogs eat cats」なら「イヌがネコを食べる」となるが、「Cats eat dogs」では「ネコがイヌを食べる」になる。

 ロシア語では、単語の形が変わる。ネコを食べるイヌは「sobaka(ロシア文字ではcoбaka)」だが、ネコに食べられるイヌは「sobaku(ロシア文字ではcoбaky)」となる。日本語の場合は助詞を付けたり変えたりする