承前――、というような文言で始めると、もしかしたらこれって連載なのかも。

 と思わなくもなくはないのですが、承前などとぬかしていかにも続き物みたいなことを言ってるくせに、前編が今回の話の何の“振り”にもなっていないような気がするのは気のせいでしょうか。しかも“中編”って何よ。

 というわけで中編です。ほんとに中編です。次回は中編其ノ二です。嘘です。

 いい映画を見ていると、感動のあまり目頭が熱くなり、思わず、何といふ素晴らしい物語なのだ。堪らん。う、う、うッ。

 と泣いてしまうようなことがよくある。心が清らかなんだな私は。自分で言ってるのだから嘘じゃない。たぶん。ものすごいブーイングが聞こえてきそうです。

 本当のことを言えば、映画などで感動してしまったときは人知れず泣きたいところなのだが、そういうまずいときにかぎって家内に目撃され、あ、泣いてる泣いてる。面白ーい。などと笑われ、ばつの悪いこともしばしばある。

 というようなことを徒然なるままに書いていたら終わってしまったんですね、前回は。七行で書けるじゃないか、とツッコまないでください。行を数えるな。

 あれはどーもいかん。女房に弱みを握られているかのような錯覚に陥る。

 というようなことを、少し前に訪阪した際、親しくしている友人たちと話した。彼らは私より五つか六つ年下で、四〇歳をちょっと過ぎたばかり。アラフォーです。

 ひとりはエンジニアで、いま研究部署の部長補佐の任にある。もうひとりは支店長さん。優秀なんだな、彼ら。もちろん役職が全てではないけれど。でも、肩書きってのは社会に対する信用度でもあるから、ないよりはあったほうがいい。いい年して肩に何も書いてないと叩かれやすいからです。怪談より怖い話です。

 ちなみに、私の肩書きは“社長”です。繁華街を歩いているとしょっちゅうそんなふうに呼ばれます。いつぞやも、シャッチョ~。などと気安く声をかけられ、誰に向かって話しかけてんだお前は。とサングラスをはずしてほんのちょっとだけ凄んでみせたら、すみませんでした。ご同業の方とは存じ上げず――。

 と言われ、最敬礼までされてしまったのだけど、ご同業ってどーいう意味かしら。

 という話は措いといて、訪阪したときの話。彼らは、もともとは私の書いたものを読んでくれていた“読者”だった。たまたま知りあえる幸運に恵まれて、いまでは著者と読者の垣根を取っ払ったおつきあいをさせてもらっている。