基本的に「一時金受取り」の
方が手取りが増える!

 複数の条件で試算したところ、年金運用率3%、年金受取り期間を60歳から15年間とすると、手取りは年金方式のほうが少し有利でした(退職金は2000万円)。

 しかし、これは東京23区在住のケース。国民健康保険と介護保険の保険料は自治体によって大きく異なり、全国的に見ると東京は負担が少ない方です。
 東京23区のほかに、横浜市、大阪市の年金の手取り額を金額別に表にしたものを本書の巻頭、ジャバラページに掲載しました。
 ご興味があれば、ぜひご覧になってみてください。

 ただし、試算は「今の条件」のもので、条件は今後変わる可能性が大きいでしょう。
受取り期間中に年金の運用率が引き下げられたり、国民健康保険料と介護保険料がアップしたりすると、年金方式の手取りは今より少なくなります。

 年金の運用率、受取り期間、どこに住んでいるのかなど条件にもよりますが、基本的に、退職金は「一時金受取り」を多くするのがおすすめです。

深田晶恵(ふかた・あきえ)ファイナンシャルプランナー(CFP)、(株)生活設計塾クルー取締役。1967年生まれ。外資系電器メーカー勤務を経て96年にFPに転身。現在は、特定の金融機関に属さない独立系FP会社である生活設計塾クルーのメンバーとして、個人向けコンサルティングを行うほか、メディアや講演活動を通じてマネー情報を発信している。20年間で受けた相談は4000件以上、「すぐに実行できるアドバイスを心がける」のをモットーとしている。ダイヤモンドオンライン、日経WOMAN等でマネーコラムを連載中。主な著書に『住宅ローンはこうして借りなさい 改訂6版』『平均寿命83歳!貯金は足りる?定年までにやるべき「お金」のこと』(ダイヤモンド社刊)『共働き夫婦のための「お金の教科書」』(講談社刊)ほか多数。