そして、1804年に公布された『ナポレオン法典』の目次の中に、遺言に関する項目も存在していました。

 遺言に関する条項は、「第2編 生前贈与および遺言」にあり、日本の民法でも見たことがあるような項目がずらりと並んでいます。これこそがまさに、日本の民法の原点が『ナポレオン法典』にあったという証拠だとわかるものです。

2つの書籍に
共通するものは何か?

 日本の遺言制度の原点が、1804年に公布された『ナポレオン法典』にあったことは大いなる驚きですが、『君たちはどう生きるか』を一読して、心揺さぶられるとても魅力的な物語であると思いました。

 そして、コペル君の人生の荒波を乗り越える奮闘ぶりに共感するとともに、もうひとつ感じたのは、『君たちはどう生きるか』と『90分で遺言書』に共通する部分があることです。

 それはどちらも「生き方を定める」ものであるということです。『90分で遺言書』は、自筆証書遺言を簡単に書くための本ですが、実は遺言を書くという一連の行為を通じて、自らの来し方行く末に想いを馳せ、人生の棚卸しと脳内整理を行うことになります。

 その過程で、「私の人生の全体像がわかった。これでいい!」という自らの生き方を定めることができます。それが遺言なのです。このことが「遺言を書くことは、生きること」と私が考える理由のひとつとなっています。