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吉田恒のデータが語る為替の法則

FOMCサプライズで米ドル/円はどう動く?
ドル高・円安予想だが最後の波乱に要注意

吉田 恒
【第185回】 2012年1月30日
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FOMCがサプライズな金融緩和強化を決定!

 2012年1月25日(水)に行われたFOMC(米連邦公開市場委員会)で、サプライズな金融緩和強化が決まりましたが、これは欧州債務危機からの判断が大きかったと思います。

 そして、その欧州債務危機こそ、米国金利を最近左右する要因となっています。

 実は、米ドル/円も異常な小動きからそろそろ抜け出す兆候もあるのですが、その方向を決めるのが米国金利ということになると思っています。

米国株価は反発したが、依然、米国長期金利は低水準

 1月25日(水)のFOMCでは、2013年半ばまで現行の超低金利政策を継続するとしていたのを、2014年終盤まで続けると、1年以上延長することが決まりました。

 ところで、そもそも2013年半ばまで超低金利を続けると決めたのは2011年8月、米国株が急落する中でのことでした。その米国株は、最近の景気回復期待から、急落前の水準を回復する動きになっています。

 単純に株価との関係だけを考えたら、本当は、超低金利の2013年までの継続方針を取り下げてもおかしくないところでしょう(「資料1」参照)。

資料1

 ところが、その逆に、さらに1年以上、2014年終盤まで超低金利を続けるといった具合に、金融緩和を強化してきたわけです。なぜでしょうか?

 まず考えられるのは、株価は反発したものの、一方で、金利は上昇せず、長期金利(10年物国債利回り)などは依然として2%前後といった空前の低水準での推移が続いているためでしょう(「資料2」参照)。

資料2

米国金利が上昇しない理由はやはり欧州債務危機にあり!

 それにしても、景気指標が改善しているのに、金利が上がらないというのはなぜでしょうか。それは米国のせいではなく、やはり欧州のせいということになるのでしょう。

 「資料3」は、米国の長期金利と欧州債務危機を象徴するイタリアの長期金利を上下逆にして重ねたものです。

資料3

 これを見ると、2011年11月ごろから、両者の相関関係が強くなっていることがわかるでしょう。

 この間、米国景気は回復し、米国株は上昇しました。しかし、その一方、米国金利の上昇は、欧州債務危機でイタリアなどの国債が売られ、利回り上昇となる動きに足を引っ張られる形になっていたことがわかるでしょう。

 このように見ると、FOMCが米国景気は回復し、米国株が急落前の水準に戻った中でも、むしろ、超低金利継続の延長などで、金融緩和方針を一層強化する方向に動いたのは、米国内の要因のせいではなく、かなりの割合で、欧州債務危機への対策だったという見方をしてもおかしくないかもしれません。

 これで今回、なぜ、FOMCがサプライズの金融緩和強化に動いたかについてわかったでしょうか。

 では次に、それがどう為替に影響するかについて考えてみたいと思います。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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