ポーケン
現在発売中のモデルは5種類。名刺代わりに持ち歩いてみては?

 ミツバチやパンダ、エイリアンなどのキャラクター同士で「ハイタッチ」をすると、その持ち主のパーソナル情報が瞬時に交換できる――スイス生まれのデジタル名刺「ポーケン」が人気の兆しだ。

 「ポーケン」を介して交換できるのは、自分の顔写真や住所氏名、メールアドレスやブログのURL、あるいは、SNSでの登録IDなど。携帯ストラップ/キーチェーン型をしていて、お互いの「ポーケン」の大きな左手をかざし合うとデータ交換が完了となる。

 ただし、それぞれの個人情報が「ポーケン」自身に蓄積されるわけではない。セキュリティの観点から、交換されるのは、あくまでお互いの「ポーケン」の識別番号と、手をかざし合った日時などの情報に限定される。相手の詳細情報を確認するには、「ポーケン」の左手を外して、PCとUSB接続した状態で「ポーケン」の公式サイトにログインする。そこで初めて、名刺交換した相手のパーソナル情報が閲覧できるという仕組みである。保存できるデータの上限は最大64人までとなっているが、vCard形式で、いつでもバックアップを取ることが可能だ。

 「ポーケン」の利点は、まず、名刺データを簡単に一元管理できる点にある。名刺交換した日時に至るまで履歴を確認できるのは重宝といえる。と同時に、ブログや参加SNSなどの情報から、これまでの「紙」の名刺では得られなかった、相手のより深い情報を得ることもできる。名刺交換した時点ではあまり話が弾まなかったが、プロフィールを見て、自分との思わぬ共通点を発見するといったことも十分に有り得る。

 気をつけたいのは情報漏洩の点で、万一、紛失した場合は、第三者に名刺交換した相手の情報を閲覧されてしまう可能性がある。ただしこの問題は、USB接続した際のオートログイン設定をあらかじめ無効にしておくことで回避できる。あるいは、公式サイト上で、紛失した「ポーケン」をアクセス不可にする手続きを取ることも可能だ。

 個性的なデザインだけに、現段階ではビジネスシーンでの活用は難しいかもしれない。だが例えば、異業種交流会や販促イベント、あるいは結婚式の二次会やパーティーなどのノベルティグッズとして配布してみるのは面白いだろう。実際に、ブロガーが中心となった「ポーケン」イベントも企画されており、定員に対して応募者が殺到したという。また、外観を自分好みにカスタマイズするユーザーも現れているようだ。

 携帯電話の赤外線通信などと比べ、リアルとネットの双方でのコミュニケーションを、“遊び心”をくすぐりながら橋渡しするのが「ポーケン」の大きな特徴だ。気楽に「ハイタッチ」するだけという手軽さも、流行を後押しするかもしれない。

 新年度の挨拶回りは、「ポーケンする?」を合言葉に、ハイタッチで名刺交換してみてはいかがだろうか?

(中島 駆)