世界の株式市場の今後を、鍵を握る米国経済の動向から占う

米国株の急落に端を発した
世界の株式市場への激震

 足元で、米国株の急落に端を発した激震が世界の株式市場を席巻している。

 1月下旬まで、米国をはじめ世界の主要市場は一様に堅調な展開を続けてきた。その結果、米国のS&P500指数のPER(株価収益率)は20倍を超え、株価の割高感が高まっていた。

 また、過去10年間の利益から物価変動の影響を除去し、景気循環の影響を取り除いたPERであるCAPEレシオ(2013年に、ノーベル経済学賞を受賞した米イェール大学ロバート・シラー教授が考案した、株価の割高感を評価する指標。CAPEレシオが25倍を超えると、株価は割高と考えられる)は32倍まで上昇した。そうした状況から、市場の中には「米国の株価はバブルに突入している」との指摘も出ていた。

 ここまで株価が上昇した背景には、債券市場で金利の上昇が抑えられ、投資資金が株式市場に流入してきたことがある。それは米国を始め先進国、新興国に共通の動きだ。ということは、金利が上昇し始めると、世界全体で株価は意外に脆い展開となることも想定される。

 足元の株価急落の背景には、株価の割高感を受けて、大手投機筋による債券買い・株売りの仕掛け的な動きが出始めたことがある。そうしたテクニカルな要因に加えて、インフレ期待の高まりで金利が上昇しやすくなっていることがある。

 金利上昇が続くと、これまでの低金利・株高の環境がサポートされづらくなる。米国でのインフレ期待が高まってくると、今後、株式市場が本格的な調整局面を迎える可能性は高まるだろう。