おーい、もうNAMMなんかとっくに終わっているぞー!

 はい、まったく仰せのとおり。毎年恒例、世界最大の楽器見本市「NAMM2018」は、1月25日から28日の4日間、アナハイムのコンベンションセンターで開催されて、終了した。

 が、ネット越しに見ながらああだこうだ言っていた勢力は、じゃそれを買うのか買わんのか。時間の経過とともに、そうした高次の判断を迫られるフェーズへ移っているのである。そこで、ちょっと欲しいなあ、どうかなこれ的なものを、列挙していくのである。

 まず、出たらいっぺん試さなければいかんと思っている、世界初のこの製品から。

家でもワイヤレス「KATANA-AIR」

話題のギターアンプ「KATANA-AIR」がワイヤレスで気になる

 ギターのワイヤレスシステムはステージで使うもの。そうした既成概念を打破する製品とでも言うべきか。いまどきの家弾き用ギターアンプに、ワイヤレスレシーバーとトランスミッターを追加したものが、BOSSの「KATANA-AIR」。ギターとアンプの接続はワイヤレス。電池駆動もできるから、世間では完全ワイヤレスギターアンプなどとも言っている。

 基本的にはヤマハのTHRシリーズや、フェンダーのMUSTANG GT、VOXのAdio Airと同じカテゴリーにある製品で、Bluetooth接続機能を持ち、音楽再生用のBluetoothスピーカーとして使え、専用アプリを介してスマートフォンからアンプシミュレーターの設定をし、加えてオーディオインターフェースの機能も持つ。

 そんな多機能型の卓上ギターアンプにワイヤレスレシーバーを内蔵して、かつトランスミッターの充電ドックも押し込んだデザインはナイスだ。

話題のギターアンプ「KATANA-AIR」がワイヤレスで気になる
話題のギターアンプ「KATANA-AIR」がワイヤレスで気になる

 ただ、少ないとは言っても厳密にいえばワイヤレスにはレイテンシーもあるし、トランスミッターの充電も必要。ステージでギターをブンブン回す人ならまだしも、家でなんのメリットがあるのか。実は私もそう思っていた。

 しかし、この手のアンプは机の上に置いて使うわけで、するとコップなんかにシールドを引っ掛けがちだ。実際、私のMacBook Airは、そのようにして机上に突如発生したコーヒーの海に沈没し、帰らぬマシンとなった。KATANA-AIRの予定価格は4万円。そうした悲劇を繰り返さないための投資としては安い。

 パワーはACアダプターが電源の場合は、15W+15Wの合計30W。電池の場合は、10W+10Wの合計20Wとややダウン。しかし、いずれも家弾き用とすれば十分以上の出力だ。電池は単3型を8本使い、駆動時間はアルカリ電池なら約7時間、2500mAhのニッケル水素充電池なら約10時間と発表されている。これも十分。重量は2.2kgで軽い。発売予定は今年4月。

 ぜいたくを言えば、さらに50W程度のパワーアンプを内蔵して、外部のキャビネットを駆動できるヘッドアンプ仕様「KATANA-AIRHEAD」みたいなものがあると、さらに良い。家でもスタジオでもシームレスにワイヤレスで使えて、とても便利だと思う(ただ、その名前はちょっとマズい)。

3歳児から使えるシンセ 「Blipbox」

話題のギターアンプ「KATANA-AIR」がワイヤレスで気になる

 3歳児から使える子供向けシンセと銘打ちながら、大人用シンセと同様、凶悪な音が出るというので話題だったPlaytime Engineeringの「Blipbox」。リズムマシン内蔵スピーカー一体型グルーヴシンセ。子供用monotribeみたいなものだ。

 しかし、2EG、2LFOという結構な仕様で、複雑なモジュレーションもかけられるから、出音はかなりヤバい。こんな邪悪な音が出るというのに、映画やゲームのようなレーティングがかからないのだから、楽器は素晴らしい。

 だいたい子供向けと言いつつ、大人に買わせるつもり満々だ。MIDI IN端子は付いているし、標準フォーンの出力もある。こんなものは、それなりの意図を持った大人しか使わない。

 しかし、たとえば、これを買い与えられた子供が大人になり、ある日物置の奥から発見したとしよう。ちょっとアンプにつないで馬鹿でかい音で鳴らしたら、ぶっ飛ぶような音が出た。MIDIをつないで音源として使ってみたら、めちゃくちゃおもしろかった。そうしたことが全世界同時多発的に発生し、よせばいいのにまたマニアックな方向に進み過ぎて衰退の一途を辿ったシンセが再び勃興。みたいなストーリーも想定できる。

 が、そんな想定がなくても、大人は勝手に使うのである。左右のレバーはいかにも子供向けっぽいが、microKORGのプロトタイプには、こんな感じのレバーが付いていたと聞いたことがある。大人だって、こういうものをギッタンバッコンするのは楽しいに違いない。そしていかにもオモチャっぽい外観は、使う人がいい感じで使えば、ステージ映えもするだろう。

 予定されている価格は159ドル。さすがに安い。今年春に事前販売を開始し、夏には正式出荷の予定。

ポケットオシレーター新型「スピーク」「ノックアウト!」

話題のギターアンプ「KATANA-AIR」がワイヤレスで気になる

 ティーグ・カールソン設計のスピーカーをWi-Fi対応にしてモダナイズした「OD-11」やら、Baiduと共同開発したスマートスピーカー「H」やら、同ロボット型スマートスピーカー「R」やらを発表するなど、だんだん大人になって、デザインセンスの塊のようなスウェーデン人の本性を隠せない感じになってきた昨今のTeenage Engineering。

 でも、去年話題だったグラフィックシーケンサーの「OP-Z」は、2017年夏発売と言いながら結局出なかったし、今回のNAMMでも何のアナウンスもなかったし、どうなるんだろうなあ、あれ。

 と、そんなことを思いつつも、今年もTeenage Engineeringは定番ポケットオシレーターシリーズに新製品を2つ追加してきて、ちょっと安心。

 「PO-33 K.O!」はサンプラー。音程を奏でるメロディーサンプルスロットが8つ、ワンショットで鳴らすドラムスロットが8つあり、内蔵マイクやライン入力の音をサンプリングした音をシーケンサーで演奏できる。サンプルメモリーは合計40秒まで。

 「PO-35 speak」はボイスシンセサイザー。サンプルした音を、オートチューン 、ロボット、ボコーダーといった8つのボイスキャラクターに加工してシーケンサーで演奏。リズムマシンは「PO-32 tonic」と同じSONIC CHARGE社の音源で、同社のPC用ソフト「MICROTONIC」でmicrotonicドラムサウンドの入れ替えもできる。これは結構遊びがいがあるぞ。

 これら2台と、去年発売されたドラムマシーンの「PO-32 Tonic」を合わせて、メタルシリーズと呼ぶそうだ。ちなみにPO-32が金、PO-33が銀、PO-35は銅。なぜかPO-34が飛ばされているのは気になるが、それはさておき金が高くて、銅が安いということもなく、すべて均一価格の89ドル。すでに公式サイトでの販売は始まっている。

 さらに、PO-32 tonic、PO-33 K.O!、PO-35 speakの3台をセットにした豪華バンドルパックもある。プロケースとミニケーブルが3セットずつ付いて319ドル。

 それにしてもOP-Zはどうなるんだろうなあ。次のNAMMには出るのだろうか。中国限定販売のRやHも、日本で売ってくれるといいなあ。そんなことを思いつつ、また来年!

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著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ