HEMSが電力不足と
CO2削減の解決策に

 2011年の東日本大震災による電力危機によって、HEMSの重要性が認識されるようになりました。この時に電力が8%不足し、東日本全体がブラックアウトする事態となり、各家庭で省エネ・創エネ・蓄エネを実践することの重要性が広く認識されるようになったのです。

 このほか、HEMSには温暖化対策という側面もあります。東日本大震災に伴う原発の停止によって、現在の日本では火力発電の割合が高まり、CO2排出量が急増しました。再生可能エネルギーの利活用につながるHEMSが普及すれば、CO2の排出量を削減することができます。

 現在は、さまざまな企業がHEMSコントローラーを製品化するとともに、HEMSに接続可能な家電や自動車、住宅設備などが市場に投入されるようになりました。ただし、これらが相互に接続できて、HEMSコントローラーから制御できなければ意味はありません。こうした機器間の橋渡しの役割を担うのが「エコーネットライト」(注2)です。

 エコーネットライトは、機器間で通信する際の規約を定めたもので、これにもとづいて開発された機器同士であれば、通信と制御が可能になります。

(注2)エコーネットライトとは
エコーネットライト(ECHONET Lite)は、スマートハウスを実現するための通信プロトロル(制御規約)だ。電機メーカーや通信事業者、ソフトウエア事業者、サービス提供事業者などで組織するエコーネットコンソーシアムが仕様を策定している。インターネットと同様に「IP(Internet Protocol)」という通信プロトコルをベースにしていることが特徴だ。この通信プロトコルの上に制御のためのプロトコルを規定している。基本的にはインターネットが使える環境であれば利用できるので応用範囲が幅広い。
2012年12月に、経済産業省がエコーネットライトを日本国内でのHEMS通信の標準インターフェースとして推奨した。また国際標準化登録が完了しており(番号:ISO/IEC 14543-4-3)、いわゆるガラパゴス化された規格ではない。