[ドバイ 5日 ロイター] - カタールとアラブ首長国連邦(UAE)の中東湾岸2カ国は、軍用機の飛行航路などを巡り互いに相手を非難し、緊張が高まっている。両国の関係悪化は米国の戦略的利益を脅かす恐れがある一方、米国と敵対するイランを利することになりそうだ。

UAEはカタールの戦闘機が先月、バーレーンに向かっていたUAEの旅客機2機の航行を妨害したと主張。一方カタールは、UAEの軍用機が昨年12月21日と今年1月3日にカタールの領空を侵犯したと訴えている。

両国はいずれも相手方の主張を否定しており、事態の沈静化を望んでいる。専門家によると、対立が深刻化するリスクはあるが、両国が戦争状態に陥ることはなさそうだという。

ただ、中東湾岸ではUAEとサウジアラビア、バーレーン、エジプトが昨年6月、テロリストを支援しイラン寄りだとしてカタールと断交しており、今回カタールとUAEの間で緊張が高まったのは米政府にとって懸念材料だ。

西側外交筋は「カタール(の軍用)機が緊急発進して旅客機の近くを飛行すれば、そういう意図がなくとも人命が失われて事態がエスカレートし、湾岸諸国が未知の状態に突入するリスクがある」と述べた。

ライス大で金融制裁を専門とするガブリエル・コリンズ氏は、軍事的な動きの背景には外交・通商面の制裁による緊張の高まりがあり、判断ミスは起こり得ると指摘。「最悪のケースの場合に小さな火花が火元となって大火災が起きることもあり得る」とした。

マティス米国防長官は、湾岸の友好国内部の亀裂は米国がイスラム国との戦いや対イラン政策を進める上で妨げになると述べた。

イランはUAEなどによる対カタール制裁を批判し、対話によって事態の解決を図るよう呼びかけている。

中東湾岸は米国にとって戦略的に重要な地域だ。第5艦隊はバーレーンに司令部を置き、カタールのアルデイト空軍基地は米空軍による対イスラム国軍事行動の拠点となっている。

カタールの米空軍の広報担当者はロイターの取材に対して「米国はカタールとUAEはいずれもこの地域の重要なパートナーだと考えている」と述べ、「緊張関係の解消に向けた中身の伴った解決策」を取るよう呼びかけた。

カタールとUAEの関係悪化は、米国にとって安全保障面だけでなく通商面でもリスクとなる。

別の西側外交筋は「サウジなどとイランのいがみ合いは激化している。中東湾岸のこうした国々は西側諸国にとって通商・安全保障面で重要なパートナーであり、内部の対立が深まって軍事衝突もあわやという状態になると得をするのはイランで、米国は打撃を受ける」と述べた。

(Noah Browning記者)