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吉田恒のデータが語る為替の法則

「米金利急反騰Xデー」が近づいている!
そして、米金利反発なら米ドル高・円安へ

吉田 恒
【第187回】 2012年2月6日
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 私は、目先の為替は米国金利がカギを握っていると思っています。

 すでに、かなり「無理な米国金利低下」になっている可能性があると思っているのですが、それが続く中では米ドル安・円高リスクがあるし、いよいよ続かず米国金利反発となったら米ドル高・円安になるのではないでしょうか?

 そして、今回はもう1つ、ユーロについても最後に述べたいと思います。

米国金利はFOMCへの
過剰反応による下がり過ぎか?

 2012年1月24日(火)~25日(水)のFOMC(連邦公開市場委員会)以降、米国金利の低下傾向が続いてきましたが、FOMCに対して過剰に反応するあまり、下がり過ぎになっている可能性はないでしょうか?

 2月3日(金)の雇用統計発表への反応は、その1つの試金石としても注目されると思っています。

 この数カ月の米国長期金利(10年債利回り)は、欧州債務危機との逆相関関係が基本になってきました。

 ところで、そんな欧州債務危機の1つの目安であるイタリア長期金利(10年債利回り)は、このところ低下が続き、2月に入ると2011年10月以来の水準まで低下してきたのです。

 要するに、欧州債務不安が後退し、イタリア国債の価格が上昇しているといった意味になります。

 そこで、「資料1」をご覧ください。

資料1

 「資料1」のように、このイタリア長期金利との逆相関からすると、米国長期金利は2.2%程度に上昇してもおかしくないわけです。しかし、実際には2%を大きく下回っており、見た目には欧州債務危機との逆相関が崩れ始めた形になっています。

米国株から米国長期金利は
3%を上回ってもおかしくない

 では、欧州債務危機との逆相関が崩れた米長期金利低下は、どのように説明できるでしょうか?

 普通に考えると、先週のFOMCでいわゆる「時間軸効果」が強化され、さらにバーナンキ議長が追加緩和、QE3(量的緩和策第3弾)の可能性を示唆したことへの反応ということになるでしょう。

 ただ、そもそもFOMCが「時間軸効果」を強化した一因は、欧州債務危機にありました。その意味では、「欧州債務危機離れ」の一方で、FOMCの決定に反応するというのは、論理的に矛盾していると思います。

 相場において、一定期間の論理的矛盾はよくあることです。ただ、それにはおのずと限度があります。

 もちろん、そもそも欧州債務危機はまだ終わっておらず、再燃すると米国金利が考えているなら、論理的矛盾ということにはならないわけですが。

 それにしても、米国の金利低下は、「資料2」のように米国株との関係でも、まったく説明できない状況がすでに数カ月にわたって続いてきたわけです。

資料2

 米国株の動きからみると、米国長期金利は3%を上回っていておかしくないということになります。

ISM指数でみると
実質長期金利は2%程度でおかしくない

 今度は「資料3」をご覧ください。

資料3

 これは、米国長期金利からインフレ率を差し引いた米国の実質長期金利と代表的な米国の景気指標であるISM製造業景況指数のグラフを重ねたものです。

 このISM指数からすると、米国の実質長期金利は2%程度でもおかしくないということになっているわけです。

 インフレ率は足元では2%程度ですから、実質長期金利が2%ということは、それを上乗せしたのが名目長期金利になるのですから、長期金利は4%程度でもおかしくないことを、米国の景気指標は示唆しているということになるわけです。

 このように、現在の米国の長期金利は、景気指標との関係でも、株価との関係でも、かつてなかったほどの異例な下がり過ぎになっているようです。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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為替相場には法則がある! 数々の大相場を的中させてきた吉田恒が、豊富な過去データを分析して法則を導き出し、為替の先行きを予想します。

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