近年BRICsの一角として先進国からの注目を集めているインド。日本企業も次々にインドへの投資を開始している。一方で低所得層人口が多いことから、インドではソーシャル・ビジネスの事例が豊富に見られる。インドのソーシャル・ビジネスはどのようなものなのか。日本企業に参入のチャンスはあるのか。今回はこれらについて探っていきたい。

ソーシャル・ビジネス大国

 約12億の人口を抱える大国インド。2010年度のGDP成長率は8.5%と、経済成長が著しい新興国でもある。近年、日本企業の進出も加速しており、自動車・二輪車関連産業やインフラ関連産業を中心に、すでに700社以上がインドに進出している。自社の次なる成長基盤として、インドを攻略すべき新興市場と捉える企業は多い。

 そんな中でここ最近、インドに進出している、もしくはこれから進出する企業の中からよく聞かれる言葉がある。それは「都市部だけでなく地方都市や農村部をいかに攻略するか」である。

 インドは都市部と農村部の人口の比率は約3:7と、圧倒的に農村人口が多い。人口の多い都市の上位20位までを合計しても約8500万人であり、全人口の約7%に過ぎない。農村人口がいかに多いかを実感できる(図表1参照)。企業が大きな市場として農村部をターゲットとするのもうなずける。

【インド市場】<br />Drishtee Foundationから<br />農村ビジネスの要諦を学ぶ