いまや、売り手が見込み客に営業をかける前に、買い手のほうは十分な情報収集と検討を重ねたうえで、商談に備えている。売り手と買い手のパワー・シフトはもはや決定的である。実際、最も重要な「見込み客の開拓」で苦戦しているばかりか、部門全体でも、個々の担当者でも、生産性が年々悪化している。そのためには、営業部門をプロセス志向へと改革しなければならない。営業活動の有効性に関する調査を過去12年間にわたって毎年続けてきたCSOインサイトのリポートから現代企業の営業組織が直面している課題を取り上げる。

営業の難易度は年々上昇している

 過去12年間、我々は営業活動の統括責任者であるCSO(最高営業責任者)に毎年アンケート調査を実施してきた。この調査の目的は、営業組織が直面している問題とその経年変化を把握することである。

バリー・トレイラー
Barry Trailer

ジム・ディッキー
Jim Dickie

共に、サンフランシスコに拠点を置く調査機関、CSOインサイツの共同経営者。同社は、製品の上市、販売、顧客へのサービス供給に関する調査をしている。彼らは毎年、主要な営業効率性の評価指標に基づく、営業業績の最適化に関する調査を実施している。また、The Sales & Marketing Excellence Challenge: Changing How the Game Is Played, Smi Publishing, 2003.など、営業スキルやリーダーシップに関する著書が複数ある。

 2006年に実施した調査では、1275件の回答が得られ、ここ数年間の傾向により拍車がかかっていることが示された。さまざまな業界において、営業活動を取り巻く状況も顧客の購買行動も変化しており、その結果、営業組織に求められる仕事はますます難しくなっている。

 まず、「製品ラインの拡充」「製品の多様化」「新規市場への参入」について見てみよう。これらについて、85%の企業が「難しさが増している」と答えている。実際、営業組織にさまざまな影響を及ぼしている。

 たとえば、新たに採用した営業担当者が1人で営業できるまでの時間が伸びている。62%の企業が「7カ月以上かかる」と回答している。この数値は過去4年間、右肩上がりに伸びており、2005年から2006年にかけては急上昇している。