優秀なAさんは
「ここ」を見ていた!

「私はマニュアルではなく、来店された方の服装、顔色含めすべてを見ています。一番見ているのが靴です。靴にはその人の性格が出ます。高価でなくともていねいに長年手入れをした革靴を履いている方は物を大切にし、細やかなところまで気を遣えるので信頼できます。逆に、どんな高価な物を身に着けていても、靴がボロボロだったり似合わない物を履いている人は、見栄っ張りな性格なので注意が必要。靴から入り、その人の目配り、呼吸、態度の見方さえわかれば、おおよその与信額までわかるのです」

 早速、翌日時間をもらい、より具体的に来店者のどこをどう見て判断すればいいかを私はすべて洗い出しました。そして、Aさんと同じ視点、動き、対応ができるようにマニュアルをつくり直したのです。今までのマニュアルの流れと比較しながら示したので、普通の人との違いが手にとるようにわかりました。

 この新しいマニュアルをベースに、Aさんとともに研修プログラムを作成し、他の支店の窓口担当者に受けてもらったところ、その支店の業績が翌月から3倍に上がりました。

 普通の人は「自分のやり方」と「優秀な人のやり方」の違いがわかりません。一方、優秀な人は「自分のやり方が普通の人とどう違うか」を知っています。ただ、普段意識することは少ないので、あえて聞かないと出てこないのです。

 こちらが礼儀正しく聞くと、優秀な人ほど熱心に教えてくれます。本当のノウハウは、意外にシンプルで簡単なもの。遠慮なく聞きましょう。

■参考記事
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