農政改革を牽引してきた小泉進次郎氏が「農林部会長」を退任した。永田町では、守旧派の農林族議員による巻き返しが始まっている。 そんな矢先に、JA柏崎(新潟県)による組合員への物品販売では、改革と逆行するような呆れた実態があることが「週刊ダイヤモンド」の調べで明らかになった。農業振興と関係がない輸入食品が中心の“お歳暮の販売のノルマ”を職員に課していただけでなく、JA幹部による組織の私物化を疑われても仕方のない裏事情があることも発覚した。(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)

JA柏崎で発覚した幹部の組織私物化と「ノルマ地獄」輸入食品が中心のギフトのチラシを手に、JA柏崎の職員が売り歩く。販売にはノルマが課されている

 2017年末、暗い空から雪が降りしきる新潟県柏崎市の田園地帯に、ひときわ景気が良さそうなギフトショップがあった。蛍光灯が煌々とした店内では、5人のスタッフがお歳暮の発送手続きなどに追われている。

 実は、店の繁盛にはJA柏崎が貢献している。JA職員がお歳暮を売り歩いているのだ。

 JA柏崎の職員は、毎年6月ごろと11月ごろにギフトのチラシを持って組合員の自宅を巡回する。ノルマはお中元で5万円、お歳暮で5万円の計10万円だ。

 ある職員は「自分の担当地域にはそんなに買ってくれる人はいないので自分で購入している」と話す。このように、ノルマ達成のために自ら商品を購入することを“自爆”と呼ぶ。

 職員が配布するチラシ(上写真)に掲載されたオリーブオイルやインスタントコーヒーの詰め合わせの価格を大手ネット通販、楽天の最安値(2月9日現在)と比べると2~3割高かった。