心の病に悩む人たちの支援法制定を目指す超党派の国会議員でつくる「こころの健康推進議員連盟」(会長・石毛えい子衆院議員)の第1回ヒアリングが2月2日、衆院議員第2議員会館で行われた。

 引きこもり家族会の全国組織である「全国引きこもりKHJ親の会(家族会連合会)」からも、池田佳世代表(73歳)と「KHJ西東京萌の会」の井手宏会長(70歳)が出席。居並ぶ国会議員たちを前に、「機能していない『引きこもり地域支援センター』の改善」をはじめ、引きこもり認定医制度の設置と専門研修、アウトリーチ医療への評価、引きこもり支援のための人材育成、企業への雇用助成金の配慮などを要望した。

10人に1人の働き手が“引きこもり”!?
行き着く先は障害者年金か、生活保護

 冒頭、発言を求められた井手会長は、

「私が引きこもりという言葉に出会ったのは、1980年代後半の頃。当時の私は、この時代の働き盛りの日本人が評されていたエコノミックアニマルの代表選手のように、家事や子育てを妻に任せ、男は仕事だという父親でした」

 などと、これまで単身赴任をしてまでも、仕事一筋に励んできた自分の人生を振り返った。

 井手氏の長男は、大学受験に失敗した頃から“疲れた”と言って、家からあまり出なくなったという。

「それから10年余りは落ち込んでいく妻や子どもを励ましながら、仕事をしておりましたが、妻の落ち込みが見ていられなくなり、40年くらい勤めた会社を辞めました。その後、自宅で起業し、引きこもりの支援活動を始めてみると、同じような悩みを持った家族がいかに多いかを実感したのです」

 そのうえで、井手氏は「引きこもりの人たちの実態、実数をきちんと把握しないと、対策も立てられないではないか」と指摘。さらに、最近「ひょんなところから、この実態が明らかになってきつつある」として、秋田県藤里町という山あいにある人口約3900人の過疎の町の事例を挙げ、同町の社会福祉協議会が高齢者の実態調査を行ったところ、長年仕事に就けない状態のまま引きこもっている人が、18歳から55歳までの町民の8.74%にあたる113人で、そのうち40歳以上が約半数の52人にも上ったことを訴えた。

「つまり、およそ10人に1人の働き手の人たちが、引きこもっているんです。全国で藤里町方式のような調査をしたら、恐ろしい数字になるのではないか。ところが、国や行政のセーフティネットは39歳で切っているため、40歳以上には支援の手が届かないんです」

 こう井手氏は、制度の谷間になっている世代の厳しい現実を説明する。