【公務員試験・大学入試の想定問題】
循環型社会の実現のために、行政はどのようなことに取り組んでいくべきか、あなたの考えを述べなさい。

【低評価の解答例(2)】
循環型社会を実現していくために行政はどのようなことに取り組むべきだろうか。さまざまな観点から取り組む必要があるが、果たして実現は可能だろうか、あるいは困難な道のりなのだろうか。私も市民の一人としてこの問題としっかり向き合っていきたい。以下、循環型社会実現の取り組みについて私の考えを論じていくこととする。
まず力を入れるべきことは、紙、ビン、鉄などのリサイクル率を高めるということである。これらの資源は各自治体によって回収が行われているが徹底できておらず……(以下略)

【高評価の解答例(2)】
日本は天然資源に乏しく、資源を循環させて再利用を進めていくことは重要な課題である。また、ゴミ処理ができる量には限界があり、その負担軽減という観点からも循環型社会の実現が求められる。特に、新たな最終処分場の建設は住民の反対などから困難になっており、できる限り資源を有効に活用して処分量を減らすことが求められる。そのために、次の二点に取り組んでいくべきである。
まず、紙、プラスチック、鉄などのリサイクル率を高めるということである。これらの資源は各自治体によって回収が行われているが徹底できておらず……

ムダな言葉は
なんの役にも立たない

【低評価の解答例】を見てください。冒頭の「循環型社会を実現していくために行政はどのようなことに取り組むべきだろうか」は、単に問題文を繰り返しているだけです。

「果たして実現は可能だろうか……」も、「ああでもない、こうでもない」と言っているだけで、何も議論が深まっていません

「私も市民の一人としてこの問題としっかり向き合っていきたい」のようなことを書いている答案も見かけますが、書くまでもないことです。

「以下、循環型社会実現の取り組みについて私の考えを論じていくこととする」も、それを聞かれているのですから、言うまでもないことです。

結局、この第一段落に意味のあることは何も書かれていません。
よって、すべて削除します。

ただし、いきなり「まず力を入れるべきことは……」から始めるのは唐突ですから、本題に入る前の「前置き」は必要です。

そこで、【高評価の解答例(2)】を見てください。冒頭で「我が国は天然資源が乏しい」「ゴミ処理が出来る量には限界がある」という2点に触れ、循環型社会を実現する重要性を指摘しています。

問題文は「なぜ、それを考えることが大事なのか?」という「問題の背景」には触れていません。【高評価の解答例(2)】は、その隙間を埋めて、背景を分析してから、本題に入っています。

問題文の繰り返しでもなく、わかりきったことの羅列でもなく、議論を深めるのに役立っています。
いわば「付加価値」のあることを書いています。

また、第1段落の最後では「そのために、次の二点に取り組んでいくべきである」という書き方をしています。こうすれば「これらから2つのポイントが出てくるのだな」と、読み手の頭の中が整理されます。これならば、書く意味があります。

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