2012年3月期の決算で、日本の電機メーカーの多くが大幅な赤字に落ち込むことが予想されている。この状況を見て、日本の製造業について、改めて強い危機感を持った人が多いだろう。崖っぷちに立たされている日本の製造業は、はたして生き残れるのだろうか? そして、製造業全体として、日本は世界経済のなかで適切な分業関係を実現しているのだろうか?

 以下では、これを貿易面から見ることとしよう。

コンピュータと電気機器は
すでにネット輸入国

 【図表1】には、電算機類(含周辺機器)と、電算機類の部分品についての輸出・輸入比率を示す(注1)

 電算機類では、1980年代には輸出が輸入の4~5倍程度あった。しかし、90年代の前半にこの比率が急低下し、90年代の中頃には1倍台になった。そして、2000年以降は、輸入が輸出を上回るようになった。2011年においては、輸入が輸出の約4倍である。

 部品も90年代に輸出・輸入比率が低下したが、完成品ほどではなかった。そして、01年をボトムとして、その後は徐々にではあるが、輸出・輸入比率が上昇している。11年においては、輸出が輸入の約2.5倍ある。

 このように、コンピュータについては、最終組立工程が海外に移っていることがわかる。

 【図表2】には、電気機器、半導体等電子部品、音響映像機器(含部品)の輸出・輸入比率を示す。

日本の電機産業は生き残れるか?

 もっとも下落が激しいのが、テレビを含む音響映像機器だ。1988年においては輸出が輸入の10倍を超えていたが、90年代に急低下し、90年代の中頃には、輸出・輸入比率は2程度の値になった。その後、2008年頃までは比率は2程度で安定していたが、経済危機後に再び下落が始まり、10年には輸入が輸出を上回るようになった。11年における輸出・輸入比率は0.83である。