年金は70歳受給開始にすると42%も増えるが、落とし穴も!

70歳過ぎても働いてほしい
国が考える施策とは?

 2月16日に政府の高齢社会対策の指針が発表された。公務員の定年延長、高齢者の起業支援など複数の施策がある中、最も目を引いたのは「年金開始70歳超も選択肢を検討」という部分。70歳過ぎても働き続けてほしいという国のメッセージがたっぷり込められている。現役サラリーマンにとってみると、インパクトのあるニュースとなった。

 現在、年金の受給開始年齢は原則として65歳である。生年月日により60代前半で厚生年金部分を受け取れる人もいるが、1階部分の基礎年金と2階部分の厚生年金を満額受給できるのは65歳からだ。

 本人の選択で65歳より前に受け取る、または後に遅らせることも可能。現行制度では支給開始を60~70歳の間で決めることができる。前倒し(繰り上げ支給)すると年金は減り、遅らせる(繰り下げ支給)と年金は増える仕組み。

 繰り上げをすると、1ヵ月につき年金は0.5%減で、一度繰り上げると途中で変更はできず、減額された年金を生涯受け取ることになるため、積極的に勧める専門家はまずいない。

 一方、繰り下げは、1ヵ月につき0.7%増となかなか魅力的。仮に70歳まで繰り下げると、年金額は42%増えるため「人生100年時代、長生きリスクに備えるために繰り下げ支給はぜひ検討を」と言う専門家は少なくない。

 今回の「高齢社会対策大綱」では、繰り下げの年齢制限について70歳を超えて選べるように検討するというもの。「年金は70歳からしか受け取れないようにする」ということではないので、この点、誤解のないように。

 さて、将来に向けての検討案は置いておき、現行の繰り下げ受給についてのメリットとデメリットを考えてみたい。1ヵ月につき0.7%増える「繰り下げ支給」、みなさんなら選択するだろうか。