いま、遺言や相続で悩まれている方が増えています。人それぞれ、いろいろな問題を抱えていますが、遺言があった場合となかった場合では、どう違うのでしょうか。ユニークな遺言の書き方を提唱する『90分で遺言書』の著者・塩原匡浩氏に、遺言のポイントを聞く。

海外で書いた遺言は、日本で効果があるのか?

外国にいるとき、
遺言が必要になったら……

 大いに盛り上がった平昌オリンピックもいよいよ最終日となり、本日、閉会式が行われます。日本選手の活躍に改めて、感謝と称賛の拍手を贈りたいと思います。みなさんは、どの競技のどんな選手が印象に残ったでしょうか。

 私が最も印象に残ったのは、女子スピードスケート500メートルで金メダルを獲得した小平奈緒選手です。小平選手は、2009年に信州大卒業後、地元の長野県松本市にある相澤病院スポーツ障害予防治療センターに籍を置いて活動してきたそうです。

 相澤病院の院長は、2014年ソチ五輪が終わった直後に、オランダへの留学を願い出た小平選手の申し出を受け入れ、2年間の長期出張として扱ってくれたのです。その他にも病院側は、活動費用等の資金的なサポートを行って、小平選手が心おきなくスピードスケートに専念できる環境を整え、世界一のスピードスケーターになるために背中を押してくれました。

 今回の金メダルの裏には、そんな善意の支援があったことを初めて知りました。

 小平選手に限らず、海外に留学したり永住を検討されたりする方々は今後も増えていくことでしょう。そして、現地で遺言作成の必要に迫られる局面も出てくるかもしれません。

 外国で遺言を作成しようとするとき、まずは外国の法律に基づいて作成された遺言が、日本国内で有効かどうかを確かめてみましょう。