昨年5月、中期経営計画の利益目標を引き下げた丸紅。資源投資による巨額の減損損失で財務状況は劣後し、早期改善を目指すが、他社と比肩するまでには多くの時間を要しそうだ。(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)

「財務体質の改善が最優先課題であることを社内外に明らかにしたいと考えた」(國分文也・丸紅社長)

 丸紅は昨年5月、2016年度からの3年間の中期経営計画を大幅に修正した(図(1))。

 主な変更点は三つある。(1)中計最終年度である18年度の連結純利益の目標額を2500億円から2000億円へ下方修正、(2)中計期間での新規投融資額を1兆円から4000億~5000億円へと縮小、(3)4000億~5000億円(3カ年累計額)のフリーキャッシュフローを創出して債務返済に充てる。要するに、利益拡大よりも財務基盤の強化を優先することを、中計の修正という形で明確にしたのだ。

 大手商社では連結純利益をベンチマークとする順位争いが激しいが、丸紅があえて連結純利益目標を引き下げ、財務基盤固めを推し進める背景には、同社の厳しい財務状況の現実がある。

 財務の健全性を示す指標の一つが「ネットDER(純有利子負債倍率)」だ。これは、有利子負債から現預金等を差し引いたネット有利子負債が、株主資本の何倍かを示す指標のこと。数値が低いほど負債を返済する内部留保が厚く、つまり財務基盤が強固であることを表す。