Q2:数社の証券会社で株を売買しているなど、
取引口座が複数ある場合はどうすればいい?

A:まずはもっとも一般的な「特定口座(源泉徴収あり)」の口座を複数持っている場合のケースでお話ししましょう。
 基本的には、Q1と考え方は同じため、確定申告は原則不要です。ただし、以下のようなケースでは、確定申告するとトクをします。

〈Aさんの場合〉
ダイヤ証券での利益:100万円(源泉徴収税額15万円とする)
モンド証券での損失:60万円(源泉職税額0万円とする)
※便宜上、所得税率15%のみとして計算。

 損益は上記のように、初めに口座単位で計算します。そのため、源泉徴収額は2つ合わせて、15万円+0万円=15万円となります。しかし、利益の合計は100万円-60万円=40万円しかありません。40万円に対する源泉徴収税額は6万円です。すると、本来の源泉徴収額よりも15万円-6万円=9万円も多く納めていることになります。確定申告することで、この9万円が戻ってくることになります。

 では、種類の違う口座を複数持っている場合はどうでしょうか。その場合も口座単位で損益を計算し、その後、他の口座の損益を通算して、利益が出ている場合、確定申告が必要です。利益が出てない場合は申告する必要はありませんが、「特定口座(源泉徴収あり)」より「特定口座(源泉徴収なし)」or「一般口座」の損失のほうが多いケースでは、税金が還付されるので、確定申告をしたほうがおトクです。まとめると以下のようになります。

●取引口座が複数ある場合の確定申告の必要性
持っている取引口座              |  確定申告の必要性
特定口座(源泉徴収あり)+特定口座(源泉徴収あり)| 不要
特定口座(源泉徴収あり)+特定口座(源泉徴収なし)| 「特定口座(源泉徴収あり)の損失」+「特定口座(源泉徴収なし)の利益」=プラスの場合、申告が必要(他は不要)
特定口座(源泉徴収あり)+特定口座(源泉徴収なし)| 「特定口座(源泉徴収あり)の損失」+「一般口座の利益」=プラスの場合、申告が必要(他は不要)
特定口座(源泉徴収なし)+特定口座(源泉徴収なし)| 利益が出ていれば必要。
特定口座(源泉徴収なし)+一般口座 | 利益が出ていれば必要。
一般口座+一般口座 | 利益が出ていれば必要。
※いずれの場合も損失が出ている口座があれば、「損益通算」や「損失の繰り越し」により申告したほうがおトクな可能性があります(Q3、Q4参照)