経営×ソーシャル
識者に聞く ソーシャルメディア進化論
2018年3月6日
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武田 隆 [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本人が教えられていない「自由」の本当の意味とは?

【長坂寿久氏×武田隆氏対談3】

あなたは「自由」という言葉をどのような意味で使っているだろうか? 「自由」という言葉を辞書で引くと「他からの強制・拘束・支配などを受けないで、自らの意志や本性に従っていること」とある。そこから派生して、自分勝手に振る舞うこと、そうすることができる権利のことを「自由」だと考えている人も少なくないだろう。しかし、このような感覚でいると、海外、特にオランダに行ったときに面食らうことになる。オランダ人が考える自由は、私たち日本人のそれとは意味合いがかなり異なるからだ。では、オランダ人にとっての自由とはどのようなものなのか? それを知ることで、彼の国がなぜ売春や安楽死に対して寛容な立場をとっているのかが見えてくる。

日本に根づいていない「自己決定権」
オランダ人の言う「自由」とは?

武田隆(以下、武田) 先生は、「パートタイム労働が当たり前になると、もっと人間は自由になる」とおっしゃいました(第2回を参照)。この「自由」というのが大事なキーワードですよね。

長坂寿久(ながさか・としひさ)
一般財団法人国際貿易投資研究所客員研究員、逗子フェアトレードタウンの会代表理事。神奈川県逗子市生まれ。明治大学政経学部卒、現日本貿易振興機構入構、シドニー、ニューヨーク、アムステルダム駐在。1999年拓殖大学国際開発学部(現国際学部)教授、国際関係論(NPO・NGO論)、2013年退任。公益財団法人プラン・インターナショナル・ジャパン理事、認定NPO法人ACE(児童労働問題)評議員等。神奈川県ボランタリー活動推進基金審査会(会長)、日本フェアトレード・フォーラム認定委員長、等。映画評論家。オランダ関係では、アムステルダム市国際交流表彰(1997年)、蘭日賞(2009年)受賞。主な著書に、『新市民革命入門――社会と関わり「くに」を変えるための公共哲学』(2016年)、『NGO・NPOと「企業協働力」──CSR経営論の本質』(2011年)、『NGO発、「市民社会力」──新しい世界モデルへ』(2007年)、『日本のフェアトレード──世界を変える希望の貿易』(編著、2008)、『世界と日本のフェアトレード市場』(編著、2009年)、『オランダを知るための60章』(2007年)、『映画で読む21世紀』(2002年)[以上明石書店]、その他『オランダモデル』(日本経済新聞社、2000年)、『ユーロ・ビッグバンと日本のゆくえ』(集英社、2000年)『ベビーブーマー』(サイマル出版会、1988年)等多数

 “Liberty”に対する「自由」という訳語が広まったのは、福沢諭吉の『西洋事情』によるものという説が有力ですが、「自分に由る」という訳はすばらしい翻訳だと思います。

 オランダの干拓地エリアに住む方々とお話しした時、実に穏やかなトーンで「私たちは自由を愛する人なのかもしれません」とおっしゃっていたのが印象的でした。彼らの言う「自由」というのは、どういうものなのでしょうか。

長坂寿久(以下、長坂) 先に、私たち日本人が教えられてこなかった概念として“Public”、つまり「公共」があるという話をしました(第1回を参照)。日本人の間ですっぽりと抜け落ちてしまった概念が、実はもう1つあるんです。それが「自己決定権」です。

 自己決定権、英語で言う“Right of self-determination”という言葉は、国連憲章の第1条第2項に出てきます。第1条の第1項は国家間の平和について目指すべきことが書かれている。そして第2項は、その国家間の平和を実現するために、人々の状況がどうあるべきかということが書いてある。その中に“the principle of equal rights and self-determination of peoples”と2点指摘しています。

武田 人々の平等と自己決定の権利、でしょうか。



武田 隆(たけだ・たかし) [クオン株式会社 代表取締役 兼 最高経営責任者]

日本大学芸術学部在学中の1996年、前身となるエイベック研究所を創業。クライアント企業各社との数年に及ぶ共同実験を経て、ソーシャルメディアをマーケティングに活用する「消費者コミュニティ」の理論と手法を開発し、複数の特許を取得。その理論の中核には「心あたたまる関係と経済効果の融合」がある。システムの完成に合わせ、2000年同研究所を株式会社化。その後、自らの足で2000社の企業を回る。これまでに森永乳業、ライオン、資生堂ジャパンをはじめ、300社超のマーケティングを支援。ソーシャルメディア構築市場トップシェア(矢野経済研究所調べ)。2015年、ベルリンと大阪に支局を開設。著書『ソーシャルメディア進化論』は松岡正剛の日本最大級の書評サイト「千夜千冊」にも取り上げられ、ロングセラーに。また、CSR活動の一環としてJFN(FM)系列ラジオ番組「企業の遺伝子」のパーソナリティも務める。1974年生まれ。海浜幕張出身。


識者に聞く ソーシャルメディア進化論

史上最も多くの人々がつながり合った今、私たちを取り巻く社会はどう変化していくのか? NTTドコモ、セブン&アイ、資⽣堂ジャパン、ライオン、森永乳業をはじめ300社超のマーケティングを支援してきたクオン代表 武田隆氏が、各分野の有識者とともに変わりゆくインターネット時代の未来を読む。

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