イベントやパーティで初めて会う人と言葉を交わすとき、つい口にしてしまう質問がある。「仕事は何ですか?」。だが筆者によると、会話の最初でこれを尋ねるのは、良好な関係性を構築するうえで、それほど効果的ではないという。本記事では、初対面でより効果的な8つの質問が示される。


 誰でも、あの気まずい場面を経験したことがあるだろう。

 あなたは初対面の相手と、短時間のうちに良好な関係を築きたいと思っている。人脈づくりのネットワーキングイベントや業界のカンファレンス、チャリティイベント、ディナーパーティなど、仕事上の付き合いの場だ。あなたが普通の人なら(特に米国人なら)、気詰まりな沈黙を破るのに定番の質問を使うだろう。

「仕事は何ですか?」

 しかし、この質問は、新しい人間関係を築くための最良の方法ではなさそうだ。むしろ、この場面で仕事についての話題は、完全に避けたほうがよさそうである。

 ネットワーク論や心理学の研究成果が示すところでは、人は相手と2つ以上の背景でつながっている関係を好み、求める傾向がある。社会学者は、これを多重的関係と呼ぶ。異なる社会的背景においても役割や所属の重なりがある関係だ。たとえば、職場の同僚があなたと同じ非営利団体の役員だったり、地元のジムのエアロバイク教室で隣に座っていたりすれば、2人は「多重的関係」にあることになる。

 研究によると、多重的なつながりのある関係は内容が豊かで、信頼性も高く、持続期間も長い傾向がある。そのため、人はおのずと、この種の関係を好むのだろう。この点は日常的に確認できる。職場の同僚で、職場以外でも友人として付き合っている相手との交友は、どちらかが転職した場合でも長く続きやすい。また逆に、職場に真の友人がいる人は、仕事が好きだ(邦訳はこちら)と答える確率が高い。

 そこで、最初の問題に戻ろう。会話を始めるきっかけとして「仕事は何ですか」と尋ねることは、どこがよくないのか。

 あなたが仕事関連のネットワーキングイベントに出ているとか、仕事絡みで誰かに会っているといった場面で、この質問は相手との関係を「仕事上の付き合い」という枠をはめることになる。相手との別の共通点を見つけ、多重的関係を築ける可能性があるにもかかわらず、この質問から始める会話ではそうなりづらいだろう。

 代わりに、最初はわざと仕事と無関係な質問をしてみて、会合の性質上、いずれ後で仕事の話に戻るはずだと考えてみよう。そのために使えそうな質問をいくつか用意してみた。これならば、新しい相手といくつか共通の話題を見つけ、多重的関係を築き、場合によっては本当の友人が得られるかもしれない。