旬を楽しみ、身体が喜ぶ 江戸料理
【第15回】 2012年2月17日 車 浮代

あの香りと歯ごたえが食欲を増す
「長葱」は体と心を癒す薬味の王様

「一文字草《ひともじぐさ》」と「二文字草《ふたもじぐさ》」。

 それぞれ何のことかお分かりですか?

 落語をよくご存じの方なら、「一文字草」の方はピンとくるのではないでしょうか。

 落語の前座噺として『寿限無』の次に有名な、『たらちね』(上方では『延陽伯』)に登場する新妻のセリフに、「一文字草」が出てきます。

「一文字草」とは、御所の女房言葉で「葱」のこと。

 葱は発する気が強いので、奈良時代は「気」または「キ」と一文字で呼ばれていたようで、それを女官たちが隠語で「一文字草」と称したわけです。

 葱に対して、二文字草とは「ニラ」を指します。

 当時は、隠語を使うことが上品とされたようですが、なんだか回りくどいですね(笑)。

長葱おかか蒸し
【材料】長葱…2本/酒…大さじ2/醤油…大さじ2/かつお削り節…1袋
【作り方】①長葱は4cm幅に切り、一人用の土鍋に立てて並べる。②酒と醤油を振りかけ、かつお削り節を長葱の上に乗せて、弱火で汁気がなくなるまで煮る。※小鍋ごとテーブルに出しても。

 落語『たらちね』は、父親が京都出身の漢学者で、自身も公家奉公をしていたため、言葉遣いがやたら難しく、若く器量よしで財があるのに貰い手がなかった清女《きよじょ》という娘が、大家の世話で長屋の八っつぁんに嫁いだために起こる笑い噺で、公家言葉vsべらんめえ調のやり取りがおかしく、人気があります。

 私事で恐縮ですが、落語歴3年の筆者が、師匠から最初に教わったのもこの噺でした。

『寿限無』や『金明竹』と並んで、言葉遊びが主体のこういった噺は、演じる方も聴く方も楽しめるので、落語の入門編としてはうってつけです。

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旬を楽しみ、身体が喜ぶ 江戸料理

栄養価の高い旬の食材を、あまり手を加えずにいただく――。これが江戸料理の醍醐味であり、健康長寿につながる正しい食のあり方だと思います。このコラムでは、江戸料理と健康をテーマに、食材ごとの情報とレシピをご紹介していきます。

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