日銀新体制で総裁続投より「副総裁」に注目が集まる理由

注目された副総裁に
「リフレ派」の若田部氏

 皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。

 政府は、2月16日午前に開かれた衆参両院の議院運営委員会理事会で、次期日銀総裁に関する人事案を提示しました。今回は、この人事案が日本経済に与える影響について取り上げます。

 政府の人事案は、4月8日に任期満了を迎える黒田東彦総裁を再任するとともに、3月19日に任期満了となる中曽宏、岩田規久男両副総裁の後任として、日銀の雨宮正佳理事と、早稲田大学の若田部昌澄教授を充てる案でした。

 黒田氏は、安倍晋三首相の周辺からの信頼も厚いと見られ、再任が有力視されていました。副総裁候補の雨宮氏は、日銀で金融政策を立案する企画担当が長く、理事として黒田氏を支え、長期にわたり政策立案の中心となってきたため、現在の政策を続けるには適任と見られます。

 ここまでは“現状維持”という印象ですが、やや異彩を放つのは若田部氏です。若田部氏は、金融緩和を訴える積極的な「リフレ」派とされ、特に量的緩和には積極的とされています。

 つまり、今回の人事案からは、積極緩和派を起用して、引き続き脱デフレを後押ししたいという意図がうかがえます。衆参両院で同意が得られれば人事案は承認され、正副総裁が就任します。政府は、3月中旬までに衆参の本会議での採決を目指しています。