多くの企業が掲げる理念や価値観(コアバリュー)は、総じて似通っているという調査結果がある。独自性のない定型句は、従業員にも顧客にも響かない。基本理念の文言で最も避けるべき5つの言葉とは何だろうか。


 今日では事実上どの企業も、一連の基本理念(core values)を掲げている。理想としては、それを自社の「業務指示書」として機能させたい。最重要かつ永続的な組織原則を明示する目的は、自社で働く全社員に、日々取るべき行動について通達、鼓舞、指示をするためである。

 ところが、その通りにうまくいくことは稀である。なぜなら、たいていの基本理念の文言は、自社の独自性に触れていないからだ。

 ブーズ・アレン・ハミルトンとアスペン研究所ビジネス&ソサエティー・プログラムの研究者らによると、ほとんどの企業の理念には似たような言葉や概念が含まれるという。90%の企業で、倫理的な行動への言及、または「誠実」という言葉の使用が見られ、88%が顧客へのコミットメントに言及し、76%がチームワークと信頼について述べている。

 私は、顧客企業による基本理念の策定や再定義を手助けする中で、この現象を直接目にしてきた。ほぼすべての話し合いで、必ず出てくる言葉がいくつかあるのだ。それは企業の大小を問わず、B2BかB2Cか、製造業かサービス業かにかかわらず、新興企業であれ老舗企業であれ、共通している。

 以下に、私が基本理念の策定に協力する際に、使用を禁じている5つの言葉を列挙しよう。