>>(上)より続く

妻が「ペット可」物件に住むのは無理
ましてや犬嫌いの実家に引き取るなんて

 第三の飼育場所ですが、治さんいわく、現在の家(賃貸アパート)はペット可で、家賃はすべて治さんが支払っているそうです。私が気になったのは妻が離婚後、どこに住むつもりなのかということです。

「妻の実家では無理ですよ。ご両親も動物を飼った経験がないみたいだし、妻が世話をできないとき、代わりにやってくれる人がいないんじゃ困ります」

 治さんは心配そうに話してくれたのですが、実際のところ、妻は今まで実家へ犬を連れ帰ったことがなく、今回の離婚話に関わる犬の世話についても一切両親へ相談していなかったので、ペット好きではない両親を説得できるかどうかは不透明でした。なのに「私が引き取る!」と豪語していたようです。もし、両親の理解を得られず、「ペット同伴」では実家に戻ることが叶わない場合、妻は賃貸アパートを借りなければなりませんが、ペット可の物件は家賃が割高で、おおよそ今より月2~3万円は負担が増える計算になります。

 しかし、妻の年収はわずかに100万円足らず。パートタイマーではペットの分だけ割増された家賃を支払うことは難しく、妻の名義で賃貸契約を結べるかどうかも怪しいため、飼い犬を引き取るのは金銭的にも無理があります。

 そもそもペットにとって、人間の都合で振り回されるのは望ましくありません。基本的に飼育環境は「変えない」方がいいので、このまま今の家で暮らしていくのがベストでしょう。飼育場所についても、治さんは妻にメールで祖談を持ちかけたことがあります。しかし妻は具体的な飼育計画に触れずに「トイレ中のしーちゃん。トイレマットが臭くなってきた。夜中はずっと走り回っていたよ」と写真付きのメールを送ってきては話をはぐらかしました。

 そして第四の飼い主の登録ですが、愛犬のシロはもともと飼育放棄され、治さんが6年前に里親として引き取った捨て犬でした。もちろん、治さんは保健所で飼い主登録を済ませており、獣医のカルテにも治さんが飼い主であることが書かれていました。これは妻も以前から承知していたことでした。