経営 × 財務

グローバルの共通言語は
英語よりファイナンスが重要
【シリーズ対談】日本企業が世界で戦うために

2018年3月20日
previous page
2
nextpage
日置圭介
KEISUKE HIOKI
デロイト トーマツ コンサルティング
執行役員

多業種の日本企業に、グローバル組織やコーポレート機能のデザイン、構築を支援。日本企業が世界で勝ち抜くためのグローバル競争力・経営力強化に向けた提言活動も推進。

日置:例えば、HRでいえば、採用はビジネスサイドが主体的にやるにしても、ヘッドカウント(人数)のコントロールとか、福利厚生などはコーポレートのHR部隊がモニタリングしていて、ファイナンスの数字を使いつつ、いわばビジネスパートナーとして、目標との整合性を基準に事業部門と協議できるようになっている、と。

昆:仮に事業部門が人を増やしたいと思ったときに、現場が大変だから何人採用したいと言っても、それは通らない。事業をどう成長させるのか、数値目標をどれだけ伸ばしていくかという議論とセットでないと、人を増やすことはできないとコーポレートの人事は説明する。

 そこでは、全社的なリソース配分を調整する必要性も生じます。事業部門Aでビジネスを伸ばすために人をこれだけ増やすことになったから、ビジネスの伸びが見込めない事業部門Bでは採用を抑えて現状維持でいきましょう、といった調整です。

 これができないと、コーポレート機能が戦略的にどうあるべきかという議論は迷走します。

頭とハートを切り分けた上で
バランスを取る

昆:日本企業のコーポレートスタッフの人たちと話していてもう一つ感じたのは、頭とハート、ロジックとエモーションのすみ分けに悩んでいることです。日本人はその2つがくっついていて、ともするとエモーションの部分を大事にする。企業としてやるべきことをやったとき、それによって利益を得る人と不利益を被る人がいる。そのときに、どの人がかわいそうだとか、それはやり過ぎだとかという感情論になりがちです。

 グローバルで文化の違いを超えてビジネスを進めていこうとすると、頭とハートを完全に切り離さないといけない。例えば、資本コストがこれだけかかっているから、利益はこれだけ出さなきゃいけない。そこから話をスタートする。

 一方でマーケットには、それぞれの文化があります。米国、フランス、日本、それぞれにお客さんがいて、そのお客さんとの関係性を築き上げて一緒にビジネスをつくっていくにはハートの部分も欠かせません。そこは、ロジックで白か黒かと決め付けるのではなく、ローカルに合った形で進めていく。例えば、日本のマーケットでビジネスをする以上は、ハートから入らないとお客さんには受け入れられない。

 そのように、頭とハートを切り分けながら、バランスを取って行動する。日本企業は海外の現地社員にも、自分たちと同じように考えてくれと求めがちですが、頭とハートのバランスをうまく取らないとグローバルにビジネスを展開していくのは、難しいと思います。

日置:海外M&A(企業の合併・買収)について、ある日本企業の方と会話したとき、「海外の会社を買収し、完全ではないものの統合を進め、ビジネスを展開していく中で、当然辞めていく人もいた。残った人材の中には、日本人よりも忖度できるのではないかという人が多く、一見するとデモグラフィックな多様性は担保しているが、考え方とか経験などのダイバーシティーに欠ける組織になってしまい、さまざまな面でイノベーションが起こりにくくなってしまった」と。そうおっしゃっていたのが、とても印象的でよく覚えています。

 多くの日本企業は買収した海外企業のインテグレーションをそれほどうまくできない中で、どこか「日本的なもの」を求め過ぎるところが、確かにあるのかもしれません。

previous page
2
nextpage

最新コンテンツ CFO、CEO、ビジネスリーダーが知るべき経営プラットフォームの概念と実際

財務基盤改革の最新事例を知る Case Study


IT insight

情報家電、インターネット、ソーシャルメディア、携帯電話など、ITツールの最新情報に加え、激動の市場を勝ち抜くIT企業の戦略、ITを駆使した新しい企業経営の姿などを伝える。ITエグゼクティブや編集部の視点から、ITビジネスの最前線を徹底分析する。

「IT insight」

⇒バックナンバー一覧