東邦ホールディングスはなぜ「ダイナベース」を選んだのか?

Chapter1

出荷精度「99.99999%」を実現する物流システム

 人命に直結する医薬品を取り扱う会社である以上、災害時の緊急対応だけでなく、平常時においても誤出荷や欠品などのミスは許されない。また、扱う商品の中には毒劇物なども含まれるため、万に一つも棚卸誤差があってはならない。つまり、物流システムのレベルの高さが医薬品卸としての信頼性や優位性の根幹を大きく左右する要素ともなる。

 その部分においても、東邦HDは同業他社を大きくリードする存在だ。

 同社がいま実現している出荷精度は99.99999%(セブンナイン)。わずか1000万分の1しかミスが許されない。同業他社はファイブナイン、シックスナインという水準のため、文字通り"ひと桁違う"レベルを達成している。「年間3500万件を出荷する物流センターの場合、たった3件のミスがあるとセブンナインは維持できない。当社の出荷ミスは年末宝くじで一等賞が当たる確率とほぼ同じだ」(濱田会長)。

 この出荷精度の高さに支えられた信頼性が、得意先への納品時における検品レスを可能にした。医薬品物流では、医療機関などへの納品時に検品を実施することで誤納品を防ぐことが常識とされる。だが、同社では、大口納品先を中心に先方の同意を得ることを前提に検品レスを実現している。裏返せば、それだけ同社の出荷精度に対する信頼が高いことの証だ。

「東京、大阪の大型病院、大手調剤薬局など約1000カ所の納品先でノー検品を実施している。伝票と突き合わせる作業がなくなることで、顧客、当社双方の作業負担軽減に貢献している」という。

「目の前にトラックがいる」という優位性

 ただ、安定供給体制の追及や物流品質の高度化に終わりはない。現状の水準に安住せず、さらなる高みを目指すために、東邦HDが次なる目標として定めたのが、仮に首都直下型の大地震が発生しても、安定稼働を確保できる最新鋭の大型物流拠点を東京都内に確保することだった。そのために選ばれたのが「ダイナベース」だ。

「ダイナベース」は、日本自動車ターミナルが創立50周年を機に建設に着手した同社初のマルチテナント型の高機能型物流施設。“物流の銀座”とも称される要衝地、大田区平和島の京浜トラックターミナル内に立地し、完成すれば地上5階建て・延床面積約9万7000㎡の規模を誇る都内有数の大型施設となる。

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