協力/ワインオーストラリア

最近話題のオーストラリアワインを口にすると、以前とはイメージが大きく異なる。その進化のほどをこの目で確かるため、12年ぶりにオーストラリアへと飛んだ。ビクトリア州ヤラ・ヴァレーは、メルボルンから目と鼻の先にあるビクトリア州最古のワイン産地。ピノ・ノワールとシャルドネの適地として名高いが、あえてシラーと呼びたいエレガントなシラーズの宝庫でもある。

メルボルン近郊のヤラ・ヴァレー 

 メルボルンの東、わずか45キロの距離にあるヤラ・ヴァレーは、ビクトリア州最古のワイン産地。

 1836年にスコットランド出身のライリー兄弟がイエリング・ステーションにブドウを植え、それから7年後、初めてワインが造られた。「イエリング・ステーション」のワインは1889年のパリ万博にも出品され、南半球として唯一グランプリを獲得したという。 

 前途有望に見えたヤラ・ヴァレーのワイン産業も、酒精強化ワインのブームに乗り遅れたことや州政府の牛乳奨励策により、1920年頃からブドウの樹がことごとく引き抜かれ、牧草地へと転換されてしまった。

ヤラ・ヴァレー産のボトルがずらり

 この地にふたたびブドウが植えられたのは1963年。それ以降に「ヤラ・イエリング」「マウント・メアリー」「セヴィル・エステイト」など、第二世代のワイナリーが誕生している。 

 今でこそピノ・ノワールとシャルドネの産地として名高いヤラ・ヴァレーだが、それを広く世界に知らしめたのはオーストラリアきってのワイン評論家、ジェームス・ハリデーだ。

 彼は1985年にコールドストリームに自らのワイナリーを設立し、この地がブルゴーニュ系の品種にとって適地であることを証明した。もっともヤラ・ヴァレーはフランスのボルドーよりは涼しく、ブルゴーニュより温暖という微妙な気候。ブドウ畑の標高は50~430メートルと幅広く、どこでもこの2品種が最適というわけではなさそうだ。