専業主婦は
コスパが悪い

「『「婚活」時代』で言いたかったのは、バブルの崩壊とともに、社内結婚の相手が用意されているような“受け身”の時代は終わったということです。結婚したければ自分で動かなければ出会えない。もう一つは、男性が外で働き女性が家事・育児をするという結婚は、もはや成り立たたない、ということでした。その背景には、男性がお金を稼げなくなっているという事実があります。実際に10年前に比べ、非正規雇用が増えて、収入が安定しない若い人が増えているのです」

 白河氏は近著『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』(是枝俊悟氏との共著・以下同書)で、家事労働の経済価値を試算している。それによると、専業主婦がもらうべき給料相当額は月19・4万円(週5日/1日7時間)で、夫が支払うためには年収600万円以上が必要になる。もし夫の年収が600万円未満の場合、専業主婦は正当な対価を支払われないまま、「好きの搾取」をされる状態になる。

『「逃げ恥」にみる結婚の経済学』(毎日新聞出版)。
ミクロエコノミスト・是枝俊悟氏との共著


「逃げ恥」とは


海野つなみ氏作のラブコメディ漫画『逃げるは恥だが役に立つ』の略称。2016年10?12月にTBS系において同作を原作としたテレビドラマが放映された。大学院卒ながら就職難で派遣社員として働く女性が、派遣切りによってエンジニアの男性と、従業員と雇用主という関係の契約結婚を結ぶ。この雇用関係において、主婦の家事労働についての対価と効果が明確に示されたことでも、話題になった。

 だが年収600万円以上の未婚男性は20代でわずか2%、30代まで広げても11・8%しかいない(※)。女性たちは今、「わずか数%の年収600万円以上」の男性を巡るレッドオーシャンの婚活市場に突入している状態なのだ。


※明治安田生活福祉研究所「2016年 20?40代の恋愛と結婚(第9回結婚・出産に関する調査より)」