『大富豪からの手紙』こそ、著者人生の「ベスト・ワン」

大富豪の祖父が残したのは、「お金」ではなく「9つの手紙」だった作家 本田健(ほんだ・けん)
経営コンサルタント、投資家を経て、育児生活中に作家になるビジョンを得て、執筆活動をスタートする。「お金と幸せ」「ライフワーク」「ワクワクする生き方」をテーマにした1000人規模の講演会、セミナーを全国で開催。著書は、100万部を突破した『ユダヤ人大富豪の教え』(大和書房)など、著書は130冊以上、累計発行部数は700万部を突破している。2017年にはアメリカの出版社Simon & Schuster社と契約。初の英語での書下ろしになる著書はヨーロッパ、アジアなど世界20ヵ国以上の国で発売されることが決まっている。(Photo by 森藤 ヒサシ)

──どうして『大富豪からの手紙』が代表作と思われるのでしょうか?

「今までに書いてきた小説と違って、『大富豪からの手紙』は、ダイナミックに舞台を設定しているので、意外性や奥行きのある展開がつくれました。
 人生で大切な学びを自然に受け止められるように工夫して書いたので、旅先で出会うメンターとのやりとりを、あたかも、『すぐ横で聞いているような感じ』がするのではないでしょうか。
本を読むことに慣れていない方にとっても、楽しく読めると思います。16年間、作家をしてきて、ようやく、そういったストーリー展開をしながらも、全体に破綻がなく、ストーリーの中で、たくさんの学びが得られる物語を書くことができるようになりました」

──『大富豪からの手紙』は、主人公の佐藤敬(サトウ・ケイ)が「旅」をしながら人生の真実を見つけていく、という設定です。
『お金の代わりに残すものは、人生でいちばん大切なものを学ぶ機会だ。手紙の内容を身につけることができれば、仕事の成功、十分なお金、よい人間関係、家族との幸せな暮らしも、きっと手に入る』という祖父の言葉に導かれて、1通、また1通と手紙を開けながら、北海道~京都~タイのバンコク~チェンマイと『人生の秘密』を学ぶ旅に出ます。
この本では、『旅』もキーワードのひとつだと感じたのですが。

「『旅に出ること』は、もっとも手っ取り早く人生を動かす方法のひとつです。主人公の敬(ケイ)は、バンコクで出会ったアメリカ人のマイクから、こう言われます。

『本当の自分は、心の中にいる。でも、その自分と出会うために、僕たちは旅に出るんだ。だから、やっぱり旅に出るべき、行動するべきなんだよ。わかるか?』

 私は、『人生に迷ったら、旅に出ろ』と思っています。敬(ケイ)のように『偶然を追いかける旅』をすると、人生のリズムが必ず変わるはずです」

──執筆にあたって、本田健さん自身も、世界中を回ったそうですね。

「本を書くために取材旅行に出たのは、今回がはじめてです。これまで、130冊以上の本を執筆しましたが、これほど情熱を傾けた本はありません。
10日間以上に渡って、本の舞台となった、タイのバンコク、チェンマイ、そしてブータンを担当編集者と共に取材しました。そして、アメリカ、メキシコ、中国、ヨーロッパ各国など、文字どおり、世界をまわりながら、執筆を続けました。

 もし将来、インタビューで、『今までの本の中で、ベストの本はどれですか?』と聞かれたら、間違いなく、『大富豪からの手紙』と答えるでしょう。
『代表作』というのは、その作家がいちばん表現したいものを書いた本ですが、まさしくこの本の中には、『僕の言いたいことのすべて』が凝縮されています。
 この物語は、若い方だけでなく、すべての年代の方に向けて書きました。きっと、人生のおもしろさ、躍動感を覚えていただけると思います」