パーソナライズされた
家計収支を自動入力

 Life Sweetの特徴について、北山氏は「長寿リスクに備え、資産配分のシミュレーションが行えるなど生涯資金運用に重点を置いたアプリになっています。そして、平均的な統計値の利用はできるだけ避け、実数値に基づく生活費などの自動入力を重視して開発しています」と説明する。

 人生100年時代になれば、人々のライフプランや人生の目標も個々のファミリーで多種多様である。従来の平均的な値ではなく、パーソナライズされた数値に基づいた精緻な分析が必要になると考えているからだ。

 ここで重要になるのが、「個々の家計にパーソナライズされた数値」であり、これこそが自動家計簿の活用により実現できたわけだ。従来のように、年齢・性別、現在の年収や家族構成といった平均値や推定値を基にしたライフプランではなく、個々のファミリーの限りなく実数値に基づく家計収支が将来の収入支出予想の元になる。

 例えば50歳のサラリーマンがLife Sweetを利用する場合、その時点での自分の実際の金融資産残高と家計収支のデータを基に、長寿リスクや不測の事態への対応などについて現状分析を行い、生涯保障を自動で設計する。

「将来、資金の枯渇が予想されるのであれば、金融ポートフォリオのアセットアロケーションを変えるのか、生活費の削減をするのか、または定年後も仕事を続けるのかなど、資金面から自分の老後の生活を再設計するきっかけにもなります」と北山氏。「もし、対策を打たなければある家計の金融資産は70%の確率で75歳時に資産枯渇すると予想したりもするわけです」。豊かな人生100年時代を過ごすことは不可能となるわけだ。

 Life SweetはITにそれほど詳しくない人でも操作できるよう開発を心掛けたという。そのための仕掛けが、データの自動収集と自動入力だ。Life Sweetで自分の金融資産残高を時価で把握するために使う技術がアカウントアグリケーションである。銀行や証券、クレジットカードなど複数サイトのID、パスワードをアカウントアグリゲーションのサーバーに登録し、一つのID、パスワードで各サイトの情報(口座残高、カード利用額など)を収集、一覧表示できる。

 また、パーソナライズされた家計費を費目に分けて自動的に仕訳し、分析するのがネット家計簿サービスである。従来の金融機関がサービスで行うライフプランは一般的な平均値で支出を計算していたが、パーソナライズされた数値であれば、個々の家庭に固有の支出動向や特殊性を反映したライフプランの作成が可能になる。