中国・上海の再開発から取り残されたエリアの路地裏にあった小規模な精肉店にも決済用のQRコードが柱に貼ってあった Photo by Izuru Kato

 アベノミクスと日本銀行の異次元金融緩和策が始まってから丸5年が経過する。日銀が副作用を考慮せずに大量の“カンフル剤”を経済に注入し続けていることに加え、世界経済回復の多大な恩恵を受け、現在の日本の景気は良好といえる。

 しかし、この5年を振り返ると、日本はデジタルテクノロジーの日常生活への普及が海外よりも遅い点が懸念される。特に中国と比較するとその差が際立ってくる。

 例えば、デジタル通貨の普及により、中国の大都市では現金を持たない人が本当に増えた。写真のような路地裏にある小規模な精肉店でも現金で買う客は少なく、デジタル決済用のQRコードが柱に貼ってある。

 小学校では、子供の宿題を先生がウィーチャット(日本のLINEに相当するメッセージアプリ)で親に連絡している。暗唱の宿題の場合、子供が覚えて言えるようになった様子を親がウィーチャットのビデオ機能で撮影して先生に送信し、それを先生が採点するのが今や一般的となっている。幼稚園の先生も「今日はこういうお遊戯をやりました」とウィーチャットでビデオを親に毎日送っている。

 ちょっとした連絡は今やあらゆる所から、ウィーチャットで送られてくる。それぞれアドレスがグループ登録されており、そのグループ内の人は「友人」として集計される。ある知人は「ウィーチャット上の私の友人は6100人もいる。多くは知らない人だけど」と苦笑いしていた。

 スマートフォンで指示すると、配達員が飲食店に買いに行って届けてくれる「ネット出前」も爆発的な普及を見せた。オフィス街ではランチタイムに多くの人がこれを利用している。配達員の仕事は大変だが(雨風でも配達時間を厳守しようとするので事故が多い)、繁忙期は月1万元(約17万円)程度の収入になる。農村から出稼ぎに来ている人にはいい稼ぎであり、大卒平均初任給の倍以上だ。