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データサイエンティストの冒険

どうすれば日本企業はアナリティクスを
イノベーションにつなげられるのか?

工藤卓哉 [アクセンチュア]
【第20回】 2018年3月15日
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 米国西海岸を拠点にしながら世界各地のプロジェクトにかかわっている立場からすると、グローバルビジネスの舞台における日本企業の存在感は、年々薄くなっていると実感しています。

 もちろん自動車やロボティクスなど、日本企業が今も高い競争優位性を築いている一部の分野では、世界的な注目を集める取り組みがいろいろと進んでいますが、その数はまだまだ決して多いとは言えません。こうした状況は何も製造業に限らず、テクノロジーやサービスなど、非製造業分野においても同様です。海外市場で、優れた技術力や品質が支持されている企業やブランドはあるにせよ、世界をアッと言わせるようなイノベーションが日本からなかなか生まれないのはなぜでしょうか。

 データサイエンティストとして、日ごろから「データを活用し、いかにビジネスに価値を付与するか」というミッションを掲げている身としては、こうした課題に対してアナリティクスが果たせる役割は非常に大きいと認識しています。

縦割りから
イノベーションは生まれない

 かつて日本企業の強さは、チームワークを前提とした「擦り合わせ」と「作り込み」という、属人的な知見と経験に裏打ちされた「現場力」によって支えられてきました。

 しかし、属人的かつ現場主義的な意思決定をもとに事業を進めた結果、各事業ユニットが独立企業のようになってしまうと縦割りの弊害が顕在化します。既存の枠組みに囚われるあまり横の連携が悪くなれば、必要なデータやノウハウ、成功事例などが共有されないばかりか、業務の重複などにより膨大なコストの無駄が生じてしまいます。

 つまり、従業員一人ひとりが「お客様に対して最適な製品・サービスを提供したい」との共通の思いを持っていても、それが部分最適にとどまっていれば、本来の課題に対応するために必要なアイデアやコラボレーションの創出にはつながらず、イノベーションは促進されないのです。実際、それと同じことがデジタルマーケティングの世界でも起きており、日本企業が陥りやすいデータ利活用の落とし穴と言えるでしょう。

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工藤卓哉
[アクセンチュア]

Accenture Data Science Center of Excellence グローバル統括 兼
アクセンチュア アプライド・インテリジェンス マネジング・ディレクター
ARISE analytics Chief Science Officer (CSO)

慶應義塾大学を卒業しアクセンチュアに入社。コンサルタントとして活躍後、コロンビア大学国際公共政策大学院で学ぶため退職。同大学院で修士号を取得後、ブルームバーグ市長政権下のニューヨーク市で統計ディレクター職を歴任。在任中、カーネギーメロン工科大学情報技術科学大学院で修士号の取得も果たす。2011年にアクセンチュアに復職。 2016年11月より現職。 データサイエンスに関する数多くの著書、寄稿の執筆、講演活動を実施。


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近年テクノロジーと数理モデルによってもたらされるアナリティクスが、ビジネスを大きく変えようとしている。データの高度な活用から次の打ち手を見出す力、アナリティクスの決定的な優位性を最前線から解説する。

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