前回、前々回と、AR(Augmented Reality=拡張現実)を三つのタイプに分けて解説をしてきました。一つめの「現実社会をスマホなどで透かしてみると、リアルタイムに、3Dの映像と合成されて見える」という「かめはめ波」型拡張現実(スマホを通してみるとかめはめ波だって打てちゃうことからこう呼びました)と、二つめの「現実世界に、スマホで透かして情報を書き加える」補強現実型ARに関して、ご紹介をしました。

 今回は、ARの最終回として、これまでの概念を覆す「現実拡張」型のARについてご紹介したいと思います。

 まずは、前座として(…と言うと開発した人に申し訳ないですが)、MITのMedia Labの開発者が作った「LuminAR」の紹介です。

 これは言わば「どこでもパソコン」です。卓上ライトみたいなかたちをしたコンピュータで、例えばテーブルの上にキーボードとディスプレイを映し出します。

 映し出されている映像だという点をのぞけば、キーボードもディスプレイも使い方は普通のパソコンと同じ。キーボードを打つアクションを、光センサーで認識し、ライトに内在された小型コンピュータが情報を処理し結果をディスプレイに投影します。

 大きさ的には、今でも、ソニーの「ハンディカム」ほどに見えますし、ごく近い将来、もっと小さくなると思います。そうなると、ビデオカメラみたいなのを持ち歩けば、どこででも、平らな場所がありさえすれば、パソコンが使えるということになるわけです。

 ようやく、スマホやタブレットに慣れてきた身としては、はなはだ迷惑な発明ではありますが、まぁ、すごいことはすごい。