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スーパー業界では前代未聞の比較値下げが効いた西友の“前途”

週刊ダイヤモンド編集部
2009年2月3日
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 「西友が好調らしい」。昨年の年末商戦を終えて、流通業界関係者のあいだでは、こんな話題が飛び交っている。

 消費不況で、日本チェーンストア協会加盟店全体では12月の販売額が前年比3%減であるのに対して、西友は同月の既存店売上高が前年実績を上回った。なかでも食品部門は約3%増になった模様だ。

 好調の要因は12月に打った施策にあると見られる。

 西友は12月4日から他社の広告チラシを持参すれば、レジでその価格まで割引するというスーパー業界では前代未聞の取り組みを始めた。さらに、西友とライバルであるイオン、イトーヨーカ堂が店を構える千葉県の津田沼の価格を例にとり、大手全国紙に商品価格の比較広告を掲載した。

 もともと親会社の米ウォルマートに倣って低価格路線できたが、このEDLP(エブリデーロープライス=毎日が低価格)は、チラシによる特売が主流の日本では浸透しにくい。安さをアピールするために、競合他社を刺激しかねない強硬策に打って出たのだ。

 1ヵ月半がたち、実際に西友店頭に他社チラシを持参してくるお客は、1日に1店舗で5~10人程度。気恥ずかしさや面倒くささが手伝ってか、実践する人はあまりいないようだ。このため、現場での混乱や値引きによる体力消耗は限定的にとどまっている。

 ただし、マスコミは敏感に反応し、テレビのワイドショーやニュースで頻繁に取り上げられた。

 結果、来店客数は増え「低価格販売の認知度は高まっている」(西友)という。

 競合他社の幹部は、「西友の価格に対する執着は並々ならないものを感じる。同社に対する認識を新たにした」と話す。

 課題は収益面。西友は2007年12月期まで6期連続で最終赤字、08年12月期も黒字転換は厳しいと見られる。いくら安くても、赤字の垂れ流しでは元も子もない。安さと収益性を両立できてこそ、本物のディスカウンターになりうる。

(『週刊ダイヤモンド』編集部  須賀彩子)

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