どんな企業でもすぐに売上1億円を達成できる=「すぐイチ」の法則とは?!
全国の中小企業800社以上が絶賛!約6年で53期となる人気の「No.1ビジネスモデル塾」を主宰している著者が、この塾で教えている内容をわかりやすく、ストーリー+解説にまとめて1冊にしました。それが『すぐに1億円 小さな会社のビジネスモデル超入門』です。
今回はこの新刊の発売を記念して、本の中から抜粋、再構成をして紹介します。第1話は女性が経営している「漢方サロン」。売上が減る中、どのように危機から抜け出すのでしょうか?

(前回まではこちら)

「漢方・整体サロン」を2店舗経営している藤堂華恵。売上がなかなか増えずに、資金繰りも苦しいため、知り合いから凄腕コンサルタント・遠山桜子を紹介してもらう。その桜子が提案したあることをきっかけに業績は急回復するのだった。

漢方・整体サロンの「おとり」と「本命」

顧客を会員化が成功し、売上があがってきたさらに半年後。

「社長、本店を閉じてここに集中してから、すごく伸びていますよね。このままだと、目標達成できますね!」
晴美がうれしそうに華恵に話しかける。
「桜子さんのおかげよ。まさかこんなに変われるなんて私も思わなかった!」
2人で手をつないで喜びを交わしていると、聞き覚えのある声が響いた。
「言ったでしょう。儲けるなんて、簡単よ、って」
「桜子さん!」
華恵は大きな瞳をさらに開いて驚く。
その様子を見て、Hanaのスタッフが桜子と華恵に一斉に注目した。

「え?桜子さんって、あの遠山の?」
閉店を決めた時に華恵は、ネットでの桜子の評判をまじえながら、いかにこの判断が正しいかをスタッフに聞かせたのだ。そして、実際にそれは最良の選択だったことが証明されたわけで、Hanaのスタッフ間では桜子はまるで神様のようにあがめられていた。
「あっ、あなたたちは、ここで待っていてちょうだい」
華恵はスタッフが騒ぎ出すのを制し、桜子を同じフロアのカフェに案内した。

さらに売上をあげる
次の一手とは?

桜子はサラサラの髪を耳にかけ、注文したコーヒーをゆっくりとひと口飲んでから、静かに微笑んだ。

「軌道にのってきたようですね。華恵さん、このペースを維持できたら売上1億円もすぐそこですよ」
「はい、この月商を維持できれば達成です。本当にありがとうございます。……あの、私、次に桜子さんに会えたら聞きたいことがあったんです。これからさらに売上を伸ばすには、どうしたらいいんでしょうか。私としてはもっと漢方を売りたいんです。店頭でも通販でも売って収益につなげたいんですが……」華恵はおそるおそる桜子の顔を見た。

「事業欲が出たのは、とてもいいことです。でも、それでは残念ながら難しいと思います」
「どうしてですか?漢方は効果があるのに……」
「効果があるというだけで、人は商品を買い続けないんです。商品はただ売るだけでなく、継続して買ってもらうのが大切だからです。お客様が漢方を欲しくなる、続けたくなるようにするには、戦略を練らなくちゃ」
「私にうまい戦略が考えられるかしら……」
華恵はため息とともに肩を落とす。

「華恵さんは聡明な人だから大丈夫。じゃあ、質問を変えましょう。一般の人たちにとっては漢方は薬なんです。“薬”」というのはずっと飲み続けるものではないですよね」
「確かによく『いつまで飲めばいいですか?』と聞かれます」
「そうでしょう。そのうえ値段が高い。いいもの、必要なものとわかってはいても、続けるのってそう簡単じゃないはず」
「はい、確かに。ですがそうは言っても『漢方サロン』はうちの看板ですし。やっぱりメインは漢方なんですよ」
華恵はかたくなに譲らない。

「誰も漢方を売るのはやめなさいなんて言っていません。漢方はあくまで入口として考えませんか?
『漢方で体の代謝を高めて健康な体を作っていきましょう』と宣伝して、おすすめした女性には漢方とHanaの骨盤矯正を毎回体験してもらう」
「だとしたら結局、漢方を使うことになりませんか?」
「違うんですよ。数回のコースにわたって体調が良くなってきたら、漢方を少しずつ減らしていくのがこの作戦のキモなんです。そして……」
「えっそんなことしたら漢方が売れなくなっちゃいます……」華恵は強く訴える。

「そんなことはありません。たとえば漢方をなくす代わりに朝食にはスムージー、もっと手軽にサプリを飲んでくださいって別の『置き換え商品』をおすすめするんです
「なるほど。うーん、でも、お客様にとっては、お金がかかるという意味では漢方とあんまり変わらないんじゃないですか?」

「さすが、頭の回転が速いですね。でも、まったく違います。漢方にせよ、健康食品にせよ、プラスアルファの出費でしょう。たとえば、それが毎日200円かかるとしたら、高く感じる。でも、朝ごはんと『置き換える』と考えたらどうかしら(→解説参照)
「朝ごはん代わりにする……?」
「……すごすぎる」華恵は心底感心しているのだろう、呆然としている。
「こうすれば、お客様は商品をコンスタントに買い続けてくれるし、スムージーなら専用のロゴ入りシェーカーを渡せば、毎日お店の名前を見ることになるから、ここにも足を運んでくれるはず。漢方と整体をおとりに使って、本命の置き換え商品の朝食スムージーやサプリを売る戦略です。どうですか?」

つづく