継続して購入してもらうための
「置き換えの法則」

「漢方・整体サロンHana」の場合、売りたい商品はオリジナルの漢方でした。
もちろん仕入れ商品よりも粗利が取れて儲かりますから、戦略的には間違っていません。
それでも、桜子は漢方を売り続ける戦略では、ダメだと言いました。漢方を売り続けること、お客様に飲ませ続けることが、難しいことをわかっていたからです。

一般的な認識だと漢方は薬です。飲み続けるものではないのです。案の定、華恵はお客様から「いつまで飲み続ければいいのですか?」とよく質問されていました。

漢方は「体にいいし、安全」というイメージがあるので、体質改善のとっかかりとして販売するのには適していますが、残念ながら継続商品ではないのです。
多くの商品は1人のお客様に継続して販売できなければ儲かりません。

こういうと、住宅のように高額でいっぺんに粗利が取れる商品があるじゃないか、という反論が聞こえてきそうです。
もちろん、そうなのですが、高額商品は売るまでが大変です。一所懸命に営業マンを育成して、努力と根性と、人間力の勝負で販売したとしても、その売れる社員が辞めたら、また振り出しに戻ってしまいます。

だからこそ、細く長く売れ続ける仕組みを作る必要があるのです。とっかかり商品から継続して売れ続ける商品を作るには「置き換えの法則」がとても有効です。

なぜならば、お客様の脳は、お金を支払うことに痛みを感じるからです。その痛みを回避する感情が、購買にブレーキをかけます。
しかし、生活に必要なもの、生存するために必要なものであれば、最初から諦めていますから痛みは麻痺しています。だからこそ、「何か他の必要なものと置き換えられないか?」を考えるのです。

桜子は、華恵に「朝食に置き換える」ように言いました。「漢方・整体サロンHana」は、体を気遣っている女性をターゲットにしていますから、「私はもったいないから、朝食は食べない」という層ではありません。

コアターゲットは「そもそも現代人は、食べ過ぎの傾向があります。朝食をこの商品に置き換えていただくことで体質改善を図りましょう」と言われれば、「なるほど」と納得してくれる層なのです。ここにチャンスがあります。

世の中には置き換えで成功している商品がたくさん存在します。たとえば「カルビー」の人気商品「フルグラ」。発売当初はシリアルとして普通に販売され、結果、売上も普通でした。ところが朝食の置き換え商品としてリニューアルを図ったところ、爆発的に売れたそうです。

自社の商品、サービスが継続しないという悩みを抱えている企業やお店の経営者は、今一度、売ろうと思っている商品が何かに置き換えられないかをじっくり検討してみてください。

(続く)

【登場人物紹介】

遠山桜子[とおやま・さくらこ](45歳)「すぐに売上1億円を達成させる」敏腕コンサルタント
「儲けるなんて簡単よ」が口癖。数々の企業にビジネスモデル(儲かる仕組み)構築の重要性を説いている。類まれな分析力とアイディアの持ち主で、三度の飯よりビジネスが好きというほどの自称ビジネスオタク。隙のない風貌から、近寄りがたい雰囲気を醸し出しているが、実は愛情深く、人を喜ばせることが好き。

藤堂華恵[とうどう・はなえ](40歳)漢方・整体サロンHanaオーナー
不妊で悩む女性を助けたい一心で、女性の悩みに応える漢方・整体サロンを横浜で2店舗経営。元ミスキャンパスだった美貌を生かし、自らが宣伝広告塔となり雑誌やチラシで集客はできているものの、儲かってはいない。年商6000万円。