自動車メーカーだからこその蓄積
それが新型「日産リーフ」の強みとなっている

 そうした変革期の中で2017年10月に登場した新型「日産リーフ」は順調に販売台数を伸ばしており、すでに先代モデルからの累計で30万台を突破。単一車種として世界で最も販売実績のあるEVとなっている。

 実際に試乗を行った辻野氏の感想は「熟成度を高めた違和感のない走り」だ。辻野氏はこれまでにも他社製EVを試乗しており、それらと比較しても「走りがスムーズで、ガソリン車から乗り換えても違和感はまったくない。それだけにEVであることの驚きはなかった」。そして、この違和感のなさこそが重要であるという。

新型「日産リーフ」は、先代モデルに比べ出力、トルクともに大きくアップし、加速性能を向上。バッテリーも大容量化し、航続距離は400km(JC08モード)で、日常的な走行距離をカバーする。充電時間(普通充電)は、8時間(6kW時)。80%まで充電するのにかかる時間は急速充電で約40分

 「快適に安全に移動を行うことが目的であれば、ガソリン車からの乗り換えに違和感があったり、ハードルが高ければ普及の障害になりかねない。日産リーフならガソリン車からスムーズに乗り換えることができて、新しい時代への移行をシームレスに体感させてくれる」。さすが、乗り手をよく知る自動車メーカーが丁寧に作ったEVであると評する。

 新型「日産リーフ」に搭載された新機能についてはどうだろう。アクセルを緩めることでしっかりとした減速の効果が得られ・停止までできる『e-Pedal』について、「ペダル一つでクルマの動きをコントロールできるのがいい。そもそも、モーターによる力強い走りが楽しめるのがEVの持ち味だが、その上で今までにない運転フィールが味わえた」(辻野氏)という。

 これからの数年間、EVに係わるビジネスが活気づくのは間違いない。日本の自動車メーカーもEVシフトを鮮明にし始めた。日産は今後、EVの車種ラインナップを増やしていく計画で、先般のジュネーブモーターショーではフォーミュラEへの参入も発表。EVメーカーの旗手としての立ち位置を明確にしている。その意味でも新型「日産リーフ」は、日本のEVの行方を占う存在でもあるのだ。