会員同士のヒソヒソ話でも、大きな案件が動く Photo by S.O.

 ゴルフコンペ、マージャン、ボウリング、釣り、忘新年会に納涼会など、仕事を離れたイベントも年間30回超催される。もともと結束が強いとされる三田会だが、実利と親睦が結び付くことで、他に類を見ない特徴を備えている。

 不動産取引の成否にはやはり、有力な情報にいかに早くアクセスするかが肝要だ。東京都心の情報がとりわけ集まりやすいため、いやが上にも成約は増え、会員相互の結束も強まる。

 また、不動産業界は裾野が広く、財閥系の大手不動産から、果ては反社会的勢力まで、プレーヤーの幅はあまりに広い。そんな有象無象がうごめく不動産取引の世界にあって、「同じ慶應出身であるという安心感は、他には代え難いものがある」(不動産三田会事務局の佐藤正人)。

 都内屈指の高級住宅街にある小規模マンション1棟の売却先を探している業者の男性は、マイクが来ると「オーナーさまから、不動産三田会以外の業者には物件情報を出さないでほしいと言われております。大手デベロッパーの社員の方も、どうか会社に帰ってから社内で情報を伝えないでいただきたい」と念押ししていた。

他大学も見習う
緊密な結束と連携

 税理士ら不動産取引の制度に詳しい専門家が会員にいることの意義も大きい。

 この日の会合では、会員でもある不動産専門紙「週刊住宅」社長の長尾浩章が、民泊をめぐる規制緩和の実情について講演。国は民泊の普及を目指しているが、近隣住民が反対するケースも多く、自治体によっては条例で事実上、民泊を禁止しているケースがあることを説明した。